認定特定非営利活動法人カタリバ(本部:東京都中野区、代表理事:今村久美、以下カタリバ)は、全国に10代の居場所がつくられる未来を目指したインキュベーション事業「ユースセンター起業塾」において、図書館等の公共施設をユースセンターとして活用する取り組みの実証事業を開始しましたので、お知らせします。
この取り組みはサントリーホールディングス株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:新浪剛史、以下サントリー)から寄付を受け、今回、株式会社図書館流通センター(代表取締役社長:谷一文子、以下TRC)の協力により実現しました。
今後、全国の自治体等と協働し、地域に根ざした持続可能な子どもの居場所支援としての展開を目指しています。
人口減少×公共施設再編の先にある、10代の居場所としての新たな価値創出
高度経済成長やふるさと創生事業をきっかけに、日本の公共施設数は増加し、2025年には約7割の施設において、大規模改修工事を要する状態になると予想されています。(*1)
加えて、地方を中心とした人口減少により、従来想定していた公共施設の需要の低下などを理由に施設廃止や機能統合による効率的な運用や、新たな価値の創出が模索されています。
一方で昨今、公共の場においても繁華街に集まる子どもが犯罪被害に巻き込まれたり、飲食店とのトラブルなどの報道が増えています。このような状況は、子ども個人が抱える課題ではなく、前述の社会的背景や変化により「居場所をなくした子ども」が増えたとも捉えられ、社会的な課題として、多くの自治体が取り組む重要事項となりつつあります。
このような社会の現状に対して、どのような状況の子どもでも安心して過ごせる場所や可能性を広げていける環境をつくるため、こども家庭庁が中心となり「こどもの居場所づくり」を推進しています。
なかでも「ユースセンター」は10代の子どものための、家でも学校でもない、第三の居場所(サードプレイス)であり、意欲と創造性を伸ばす関わりが生まれる場所として注目されています。
「図書館」を居場所へ。10代が意欲と創造性を育む場を目指す、実証事業をスタート
カタリバでは2011年の東日本大震災をきっかけに、被災地での子どもの居場所づくりを原点に全国に居場所を展開してきました。2021年からは、全国に10代の居場所がつくられる未来を目指したインキュベーション事業「ユースセンター起業塾」を運営しています。
2024年より次世代エンパワメント活動として「君は未知数」プロジェクトを推進するサントリーホールディングス㈱より寄付を受け、継続的な地域のユースセンターの拡大と成長支援、ユースワーカーの育成支援などに取り組んでいます。
そのなかで新たに、自治体が運営する公共施設が「ユースセンター」としての機能を担うことで、諸課題の解決に向けた価値創出を模索してきました。
この度、全国に約3,330館ある公共図書館のうち、598館で業務委託と指定管理者等の図書館受託運営業務を行っているTRCの協力により、東京都杉並区の公共図書館にてユースセンター活用の実証事業をスタートしました。
本実証事業は2024年10月〜2025年1月までの約4か月間実施され、今後、既存の公共施設を活用した全国的に展開しやすいユースセンターモデルの開発に役立てられます。
<図書館実証プロジェクト概要>
・実証期間:2024年10月〜2025年1月
・場所:東京都杉並区立図書館(TRC様運営館)
・開催日程:月・水曜日16:00~20:00/土曜11:00~19:00
・参加対象:13歳〜18歳(中高生世代)
・参加費:無料
・コンセプト:
「学習の合間に気軽に立ち寄り、心身をリフレッシュできる場」
「同世代が集い、新たなつながりが生まれる交流の拠点」
・内容:
- 中高生同士が、ボードゲームやウクレレなどを媒介として交流し、気軽に会話できる環境を提供
- 中高生の声を反映し、ウクレレ練習会、ボードゲーム大会、「推し」を語る会など、様々なイベントを開催
- 自習スペースを開放し、「友達と話しながら勉強したい」といったニーズにも対応
- スタッフによる学習サポートや進路相談にも応じ、幅広いニーズをサポート
株式会社図書館流通センター
図書館総合支援業務として図書館のご相談全般にお応えします。書誌データベース(TRC MARC)の作成と販売、図書館向けの装備付図書等の販売と、全国に約3,300館ある公共図書館のうち598館(2024年12月現在)で、業務委託と指定管理者等の図書館受託運営業務を行っています。学校図書館の支援業務や、電子図書館事業やデジタルアーカイブ事業をはじめ、軽自動車の移動図書館車LiBOON(リブーン)など、図書館に関わるさまざまな機器・用品等の販売も行っています。
サントリーホールディングス株式会社「君は未知数」プロジェクト
こどもたちの持つ可能性は未知数です。その可能性を全てのこどもたちが発揮できる社会を実現したい―そのような思いを活動名に込めたサントリー“君は未知数”プロジェクトでは、①こどもたちが未知と出会う機会を届ける②こどもたちに出会う・関わる大人を増やす③こどもたちを見つめる・支えるNPO等をサポートする、を軸に活動を展開しています。この分野に先駆的に取り組まれてきたNPO法人と連携・協働し、未知なる可能性に満ちた子どもたちが、生き生きとチャレンジできる社会の実現を目指します。
ユースセンター起業塾
10代の居場所であるユースセンターを広げるために個人・団体・自治体への経営支援・起業支援を通して、全国各地へユースセンターを広げていくためのインキュベーション事業です。カタリバだけでは届けることができない場所にも、10代のための居場所が生まれる仕組みをつくっています。2021年から約30の個人・団体・自治体の起業・経営支援を行っています。
認定特定非営利活動法人カタリバとは
どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPOです。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。
<団体概要>
設立 : 2001年11月1日
代表 : 代表理事 今村久美
本部所在地 :東京都中野区中野5丁目15番2号
事業内容 :高校生へのキャリア学習・プロジェクト学習プログラム提供(全国)/被災地の放課後学校の運営(岩手県大槌町・福島県広野町)/災害緊急支援(全国)/地域に密着した教育支援(東京都文京区)/困窮世帯の子どもに対する支援(東京都足立区・全国)/外国ルーツの高校生支援(東京都)/不登校児童・生徒に対する支援(島根県雲南市・全国)/子どもの居場所立ち上げ支援(全国)
URL: https://www.katariba.or.jp
問い合わせ
取材に関するお問い合わせは下記フォームにご入力ください。
https://www.katariba.or.jp/report/(担当:カタリバ広報 阿部)