認定特定非営利活動法人カタリバ(本部:東京都杉並区、代表理事:今村久美、以下カタリバ)は、2021年からヤングケアラーの子どもたちとその家族の支援に取り組んでいます。この度板橋区のヤングケアラー支援を促進するため、板橋区ヤングケアラーコーディネーター・アドバイザーを受託することになりましたので、お知らせします。
ヤングケアラー支援法が成立。国や自治体の支援強化が明確に
「ヤングケアラー」とは本来大人が担うべき家事や家族のケアを日常的に行っている子どもたちのこと。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2021年に行ったヤングケアラーの実態調査(※1)によって中学生の17人に1人が家族のケアを担っていることが明らかになりましたが、2022年に株式会社日本総合研究所によって小学生を対象に行われた調査(※2)で、15人に1人の小学生もまた家族のケアを担っていることが分かりました。
しかし、ヤングケアラーの支援については課題が山積みです。学校現場で懸念事項がある子どもが見つかっても、家族への配慮から本人が相談を控えてしまう場合もあり、支援が必要な子どもを特定することは困難です。また家族の世話に長時間を要する場合、学校での居眠りや、遅刻・欠席などが続き、不登校へとつながってしまうケースなどもあり、子ども自身が学校や社会とのつながりを持てなくなってしまうこともあります。
日本ではヤングケアラー支援についての法律がなく、各自治体が条例などでヤングケアラーの支援を強化することなどを制定している状況でしたが、2024年6月に「ヤングケアラー支援法」が成立。国や自治体による支援の対象として対応を強化することが明記されました。今後さらにヤングケアラーの支援が加速していくことが期待されます。
※1:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」(令和3年、3月)
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2021/04/koukai_210412_7.pdf
※2:株式会社日本総合研究所「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」(令和4年、3月)
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/detail/2021_13332.pdf
板橋区ではヤングケアラー支援を強化。カタリバがヤングケアラーコーディネーター・アドバイザーを受託し協働がスタート
カタリバは2021年12月から、ヤングケアラーとその家族向けのオンライン伴走型支援に取り組んでいます。ヤングケアラーのいる家庭では、保護者もケアの方法に悩んでいたり、子どもたちがケアを担っている状況に葛藤を抱えていたりします。そのため子どもたちへの支援はもちろん、保護者や家庭全体を支援することが重要です。カタリバは家庭を丸ごと支援していくために子どもと保護者双方へ専任の伴走者をつけてオンライン定期面談を行い、必要に応じて外部の専門家へ相談しながら支援を行ってきました。
板橋区はヤングケアラー支援法が成立する以前から、独自に区内のヤングケアラーの実態調査を実施。支援に関するガイドラインの作成や啓発動画の作成、支援ケース会議などに取り組み、ヤングケアラー支援に力を入れてきました。その中で教育・福祉・介護・医療等の多くの関係機関と連携体制を構築したり、支援にかかわる助言および周知啓発に関する活動を行ったりする、ヤングケアラーコーディネーター・アドバイザーを設置したいと考えており、これまでヤングケアラー家庭全体の支援に取り組んできたカタリバに業務を委託することが決定。支援における協働がスタートしました。
取り組みの内容
板橋区に在籍する各関連機関の方に対して、以下のような取り組みを提供します。
・対支援者向けの相談支援・助言
関係機関に在籍する支援者の方が向き合うヤングケアラーに関する事例について、
対応方針の検討および助言を行います。
・関係機関や民間団体との連携
ヤングケアラーの支援を行う際に、連携が必要な機関の接続や事例検討会議の実施を行います。
・ヤングケアラーに関する意識啓発、研修実施
関係機関のニーズや課題意識を踏まえ、ヤングケアラーの支援にかかわる研修やレクチャーを行います。
▼ヤングケアラーアドバイザーについて
認定特定非営利活動法人カタリバとは
どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPOです。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。
<団体概要>
設立 : 2001年11月1日
代表 : 代表理事 今村久美
本部所在地 : 東京都杉並区高円寺南3-66-3 高円寺コモンズ2F
事業内容 : 高校生へのキャリア学習・プロジェクト学習プログラム提供(全国)/被災地の放課後学校の運営(岩手県大槌町・福島県広野町)/災害緊急支援(全国)/地域に密着した教育支援(東京都文京区・島根県雲南市)/家庭の事情で居場所を求めている子どもに対する支援(東京都足立区)/外国ルーツの高校生支援(東京都)/不登校児童・生徒に対する支援(島根県雲南市・全国)/子どもの居場所立ち上げ支援(全国)
URL: https://www.katariba.or.jp/
問い合わせ
取材に関するお問い合わせは下記フォームにご入力ください。
https://www.katariba.or.jp/report/(担当:カタリバ広報 山本)