NewsRelease/NPOカタリバ、加賀市と不登校支援に関する連携協定を締結。包括的な支援策の提言作成へ
認定特定非営利活動法人カタリバ(本部:東京都杉並区、代表理事:今村久美、以下 カタリバ)は、11月30日(水)、加賀市教育委員会(石川県加賀市、教育長:島谷千春、以下 加賀市)と、不登校児童生徒への支援に関する連携協定を締結しました。この連携では、加賀市における不登校・長期欠席の子どもたちの現状を調査し包括的な支援策を提言することで、加賀市の子どもたちの社会的自立を推進することを目指します。
長期欠席の児童生徒41万人。状況に応じた多様な支援が必要に
文部科学省による調査(*1)で、日本の小中学校における不登校の児童生徒をふくむ「長期欠席者」の数が約 41 万人(413,750 人、うち不登校児童生徒は約24万人)に上り、過去最多を更新したことが明らかになりました。一方で不登校の子どもたちをサポートする「教育支援センター」の設置は”努力義務”とされており、現状、全国の約 6 割の自治体にしか設置されていません。
また不登校児童生徒のうち36.3%の子どもたちが学校内外の機関等で相談・指導等を受けていないとされていて(*2)、これは約8.9万の子どもたちが何の支援機関とも繋がっていないことを示しています。特に地方都市では教育支援センターがあっても家からの距離が遠く通うことが難しいなどの事例もあり、支援を必要とする子どもたちと繋がり、一人ひとりに合った学びを届けるためには、状況に応じたさまざまな支援策を用意することが必要です。
*1,*2:文部科学省 令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果
https://www.mext.go.jp/content/20221021-mxt_jidou02-100002753_2.pdf
不登校児童生徒への支援を本格化する加賀市とカタリバが連携協定を締結
カタリバは2015年から島根県雲南市で不登校の子どもたちが通う教育支援センターを運営しており、2021年からはオンラインを活用した不登校支援プログラムの提供を開始し、自治体と連携しながら不登校の子どもたちへの支援を行ってきました。
今回連携する加賀市は、学校や行政がもつ子どもに関するデータを連携・分析し、教育のDXを進めてきた自治体のひとつです。データを活用し困難を抱える子どもたちの支援につなげていくこの取り組みは、デジタル庁の実証事業にも採択されています。
前述した統計と同様に、加賀市でも不登校児童生徒の数はここ数年増加傾向にあり、不登校支援をこれまで以上に力を入れていくことを決めた加賀市は、オフラインとオンライン両方の支援を行ってきたカタリバと、包括的な不登校支援について検討すべく連携協定を締結し、11月30日には連携協定締結式を執り行いました。
連携協定式の様子
今回の連携で、カタリバは加賀市の不登校児童生徒についての調査を行ったうえで、「教育支援センターのあり方」や「不登校支援に関わる人材育成にどのように取り組むべきか」などの提言を行い、より多くの子どもたちの社会的自立を後押しできるように協働してまいります。
協定に基づきカタリバが加賀市に対して行う提言の内容
協定に基づき、下記の内容について提言を行ってまいります。
(1) 不登校児童・生徒への教育支援施策に関すること
(2) 不登校児童・生徒の相談体制、支援環境の整備に関すること
(3) 教育に関わる人材の活用と育成に関すること
(4) その他必要と認められる事項
※ その他、本提言を円滑に遂行するため、その他の具体的な事項については、双方が協議して定めます。
代表メッセージ
加賀市教育委員会 島谷教育長からのメッセージ
心のエネルギーが低下して学校が遠ざかってしまうことは誰にでも起こり得ることです。不登校になったとき、なりそうなとき、教室以外の多様な学びの選択肢を提供し、子どもから学びから断絶せず、社会とのつながりを保つことが大切なことだと考えています。カタリバさんとタッグを組めることは、加賀市にとって大変心強く、スピード感持って不登校支援をより充実させていきたいです。
認定特定非営利法⼈カタリバ代表理事 今村久美からのメッセージ
少子化が加速する中で、デジタルソリューションによる行政サービスの改革に力を入れるなど、常にチャレンジしている加賀市にご協力できることを嬉しく思います。今回私たちは、加賀市の不登校の現状、学校や福祉の支援リソース等を調査し、不登校支援策の包括的な提言を行います。誰一人地取り残さない支援施策を本気で共に考え、対面とオンラインのハイブリットによる新しい包括的な支援政策を模索していきたいと思います。このようなチャレンジの機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。
認定特定非営利活動法人カタリバとは
どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPOです。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。
<団体概要>
設立 : 2001年11月1日
代表 : 代表理事 今村久美
本部所在地: 東京都杉並区高円寺南3-66-3 高円寺コモンズ2F
事業内容 : 高校生へのキャリア学習・プロジェクト学習プログラム提供(全国)/被災地の放課後学校の運営(宮城県女川町・岩手県大槌町・福島県広野町)/災害緊急支援(全国)/地域に密着した教育支援(東京都文京区・島根県雲南市)/困窮世帯の子どもに対する支援(東京都足立区・全国)/外国ルーツの高校生支援(東京都)/不登校児童・生徒に対する支援(島根県雲南市・全国)/子どもの居場所立ち上げ支援(全国)
URL: https://www.katariba.or.jp/
問い合わせ
●報道関係者のみなさま
取材に関するお問い合わせは下記フォームにご入力ください。
https://www.katariba.or.jp/report/(担当:カタリバ 広報 山本)
●教育関係者、自治体関係者のみなさま
プログラムに関するお問い合わせは下記迄ご連絡ください。
room-k@katariba.net (担当:カタリバオンライン不登校プログラム 白井)