【お知らせ】「コラボ・スクール女川向学館」は、2022年4月1日に現地新法人「一般社団法人まちとこ」に事業移管します
認定特定非営利活動法人カタリバ(本部:東京都杉並区、代表理事:今村久美、 以下 カタリバ)は、2022年4月1日付けで、宮城県女川町に新たに設立される「一般社団法人まちとこ」(本社:宮城県女川町、代表理事:芳岡孝将)に「コラボ・スクール女川向学館(おながわこうがくかん)」を事業移管しますので、お知らせいたします。
事業移管の背景
東日本大震災から4か月後となる2011年7月に、宮城県女川町に誕生した「コラボ・スクール女川向学館」は、立ち上げから10年以上が経ち、これまでに600人を超える子どもたちを支え続けてきました。現在も127名の現地の子どもたちが通っています。
地震と津波で大きな被害を受けた女川町に、カタリバ代表の今村が訪れたのが2011年の4月。勉強する場を失った子どもや、十分なケアを受けられていない子どもたちを前に、「震災があったから、進学や夢を諦めた」ということが起きないようにという思いから、地域の方々の力をお借りして、コラボ・スクール女川向学館は生まれました。
女川向学館は、避難所となっていた旧女川第一小学校校舎の1階をお借りして開校しました
この11年の間に、女川町の仮設住宅の解体も進み、新たに小中一貫校が開校するなど、子どもたちの学ぶ環境にも変化がありました。女川向学館が開校以来10年間使用していた旧女川第一小学校校舎も取り壊しが決まり、昨年には町の中心部となる女川駅前への移転も完了しました。
これからも途切れることなく子どもたちの進学や夢の実現を支援していくために、「いつの日か地域に根ざした運営の体制にしていくほうがよいのではないか」と設立当時から考えていたことを実現に向けて動き出すべき時期がきたと考え、この度、より地域に根ざした運営体制として新たなスタートを切ることとなりました。
4月からは、町の人たちと共に立ち上げた
新団体が女川向学館を運営
2022年4月1日よりコラボ・スクール女川向学館の運営を担うのは、カタリバの現地のスタッフが町の人たちと共に立ち上げた「一般社団法人まちとこ」です。
まちとこの代表理事を担う芳岡は、2012年4月にカタリバへの入職と同時に女川向学館に着任後、岩手県大槌町や熊本県益城町における被災地での放課後学校運営にも携わり、現在は女川向学館の拠点責任者を担っています。
また震災前から女川町で学習塾を開き子どもたちの学びを支え、女川向学館設立時から地域の人材として女川向学館の運営に関わっていた山内も、まちとこの常務理事として芳岡とともに女川向学館の継続的な運営を担っていきます。
一般社団法人まちとこのメンバー。右から三人目が芳岡、一番左が山内
■一般社団法人まちとこ 代表理事 芳岡よりご挨拶
2012年に女川で活動を開始したことを今でも覚えています。「被災した子どもたちのために、地域で子どもたちの学びを通した居場所を作ろう」とカタリバの仲間と朝から晩まで活動をしていました。
その時に通ってきた子どもたちも社会人や大学生になっています。今でも向学館に顔を出してくれ、日々考えていることや現状を教えてくれます。当たり前ですが、あの時の子どもたちはこれからも女川に関わり生きていきます。
そんな時に、「元気?」と気を遣わずに立ち寄れる居場所や人がこの町にあり続けることが、被災した地域の本当の意味での復興の一助になると考えています。女川で育った子どもたちが故郷を思い活躍することのできる未来を目標に、これからも女川向学館は活動を続けていきます。
芳岡と、向学館卒業後も時折顔を見せてくれる卒業生たち。まちとこでは、卒業生とともに女川のまちづくりを行っていきたいと考えています
■一般社団法人まちとこ 常務理事 山内よりご挨拶
あの時から11年が経ちました。
偶然にも『女川向学館』の立ち上げから関わりを持ち、ただひたすら走り続けた11年でした。「復興」が完了したといえる定義はありませんが、女川町の教育における「復興」はほぼなされたように思います。震災後に建てられた新校舎で子どもたちは学び、震災後、バス通学を余儀なくされた子どもたちは徒歩で通学するようになりました。
「復興」が新たなステージへと移行した今、女川向学館も次への展開として「カタリバ」から女川町の「まちとこ」へ運営を移管することとなりました。
われわれは今後も変わらず、わが町を想う子どもたちや未来へチャレンジする子どもたちを応援していきます。
旧女川第一小学校校舎の取り壊しに伴い、女川向学館は女川駅前にある商業エリアの一画に引っ越しましたが、引き続き学習支援や体験活動などを行っています
コラボ・スクール女川向学館が、末永く女川の地で地域の皆さんに親しまれ、子どもたちが健やかに育つ場として続くように。その思いとともに、新たなスタートを切る女川向学館のこれからを、温かく見守っていただけますと幸いです。
■コラボ・スクール女川向学館について
東日本大震災で大きな被害を受けた地域の一つである宮城県女川町。日常の風景を奪われ大きな悲しみを経験した子どもたちに、「震災があったから夢を諦めた」ということが絶対に起こらないように。そんなコンセプトから、2011年7月に立ち上がったのが「女川向学館」でした。名称には、町のシンボルである女川町の「港」の再興と、「向」学心育成への願いが込められています。地域を巻き込み、地元出身のスタッフとも協力しながら、全国から集まったスタッフが小学生から高校生までの学びを支えてきました。
活動期間:2011年7月〜
所在地 :宮城県牡鹿郡女川町女川2丁目61番地1 シーパルピア女川F-26-3
URL :https://www.katariba.or.jp/activity/project/onagawa/
支援対象:女川町在住の小・中学生・高校生
活動内容:居場所運営/学習支援/体験プログラム/学校連携/地域連携/行政連携
■一般社団法人まちとこについて
一般社団法人まちとこはコラボ・スクール女川向学館の継続的な運営を通して、女川の子ども・若者が成長し、活躍する機会の創出を目的に活動します。
<団体概要>
設立 :2022年1月14日
代表理事 :芳岡孝将
本社所在地:宮城県牡鹿郡女川町女川2丁目61番地1 シーパルピア女川F-26-3
電話番号 :0225-24-9964(平日火曜~土曜 11:00‐20:00)
メール :info@machitoko.net
■被災地の放課後学校「コラボ・スクール」について
カタリバでは「意欲と創造性をすべての10代へ」の団体理念のもと、東日本大震災の被災地である岩手県大槌町、宮城県女川町、福島県双葉郡の3拠点で、放課後学校「コラボ・スクール」を運営してきました。避難所生活などを余儀なくされ、落ち着いて過ごす場所がない子どもたちに安心できる場を用意し、学習支援と心のケアを行うことからスタートし、子どもたちに多様な大人との出会いを通じてさまざまな進路や生き方があることを知る機会を提供したり、子どもが自身を見つめて未来を模索したりすることにも伴走してきました。
この度、宮城県女川町の「女川向学館」は一般社団法人まちとこに事業移管いたしますが、「大槌臨学舎」(岩手県大槌町)、「双葉みらいラボ」(福島県双葉郡)は引き続き、カタリバが運営してまいります。
■認定特定非営利活動法人カタリバについて
どんな環境に生まれ育っても、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPOです。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供、2020年からは経済的事情を抱える家庭にオンライン学習支援を行うなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。
<団体概要>
設立 :2001年11月1日
代表 :代表理事 今村久美
本部所在地:東京都杉並区高円寺南3-66-3 高円寺コモンズ2F
事業内容 :高校生へのキャリア学習・プロジェクト学習プログラム提供(全国)/被災地の放課後学校の運営(宮城県女川町・岩手県大槌町・福島県広野町・熊本県益城町)/災害緊急支援(西日本豪雨、令和元年東日本台風、熊本豪雨)/地域に密着した教育支援(東京都文京区・島根県雲南市・島根県益田市)/困窮世帯の子どもに対する支援(東京都足立区)
URL : https://www.katariba.or.jp/