【西日本豪雨】被災地の子ども支援活動レポート② 〜行政・学校・地域・NPO、それぞれの立場の垣根を超えた被災地の子ども支援〜
認定NPO法人カタリバは西日本豪雨の被害を受け、7月15日・16日に岡山県倉敷市真備町での現地調査を実施し、17日より現地常駐スタッフを置いて子どもたちへの支援をスタートしました。今回のレポートでは、立場の垣根を超えて被災生徒を支えるための現地での協働についてご報告します。
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「矢掛高校の生徒はこの町の宝。だからみんなで応援しよう」
そんな同じ想いを抱く岡山県矢掛町、矢掛高校、矢掛高校同窓会、NPOカタリバは、立場の垣根を超えて、それぞれの強みを活かした被災地の子どもたちへの支援を目指し、四者パートナーシップ協定を結び動きだしています。
岡山県矢掛町にある県立矢掛高等学校は、全校生徒の5人に1人が被災。
豪雨災害により甚大な被害を受けた真備町の子どもたちを最も多く抱える高校です。
被災した子どもたちのために何かしなければ。
しかし、学校は通常の学校運営の再開もあり、先生たちは多忙を極めました。
また、矢掛町自体も被災されており、町は教育環境の支援以外にもやらなければならないことが山積みです。
子どもたちは避難所・親戚の家・みなし仮設・被害を免れた家の2階などにそれぞれバラバラに避難しており、学校も夏休みに入っていたため、カタリバや地域の方も、なかなか子どもたちと繋がれない状況が続きます。
それならば、全体感を持って取り組む立場の町、すぐに動くことのできる立場のカタリバや地域、子どもたちのことを誰よりも分かっている学校が連携することで、より多くの子どもたちに迅速かつ本当に必要な支援を届けることができるのではないか。
行政・学校・地域・NPOが一体となった被災地支援が始まりました。
2016年熊本地震があった上益城郡では「心のケアが必要な児童生徒」が、地震直後より2年後の方が増加したといいます。
また、東北でも数年経ってから、「あの時大人たちはなにもしてくれなかった」、「今になるといろんなことを無理してたんだと思う」そんな声が聞かれました。
そんな想いを抱かせないために、今、子どもたちがどこにいてどんな想いをしているのか。
一人でも多くの子どもたちを探し、会い、いつでも話を聞ける環境づくりをみんなで目指しました。
「自転車が流されて、毎日親に車で送迎してもらっているが、負担をかけて申し訳ない」「制服が二着必要だが、支給は一着なので、毎日同じものを着て我慢している」
家族には心配かけたくないから、自分が頑張らなきゃと気丈に振る舞う子どもたち。
特に高校生の支援はどうしても後回しになりがちです。
こうした子どもたちの話をうけて、町・高校・地域・カタリバは情報交換や課題共有の機会を持ち、協働することで、通学困難支援や物資支援、個別訪問・相談による心のケアなど、一つ一つ、支援に必要なさまざまな壁を乗り越えています。
一人でできることに限界があるように、一つの団体や組織ができる支援には限りがあります。
しかし、普段手を繋ぐことがあまりない、異なる立場の行政・学校・地域・NPOが、こんなたいへんな時だからこそ相互協働して取り組み、そして世界中から寄付してくださる方々の支えがあることで、一つの団体や組織では到底できなかった多くの支援を子どもたちに届けることができています。
そんな、みんなの想いが届きはじめ、子どもたちや保護者の方々からは、「高校や町の皆さんの一生懸命な想いに励まされた」という声も。
カタリバでは引き続き、豪雨災害を経験した子どもたちが、災害がなかった時と同じように、一刻もはやく笑顔で日常を取り戻せるように、できる限りのサポートを続けていきます。
【西日本豪雨】緊急支援「西日本豪雨子どもサポート募金」へのご寄付をお願いします
東日本大震災や熊本地震の経験を土台に、現地の状況に合わせた形を模索し、1人でも多くの子どもたちのために、できることから取り組んでいます。一人でも多くの子どもたちをサポートできるように。皆さまのご支援を何卒よろしくお願いします。
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>>【西日本豪雨災害】子ども支援ニーズ調査報告①
https://www.katariba.or.jp/news/2018/07/17/11617/
>>【西日本豪雨災害】子ども支援ニーズ調査報告②
https://www.katariba.or.jp/news/2018/07/18/11623/
>>【西日本豪雨災害】子ども支援ニーズ調査報告③
https://www.katariba.or.jp/news/2018/07/18/11637/
>>【西日本豪雨】被災地の子ども支援活動レポート①通学困難となった生徒のためにスクールバスの運行を開始しました
https://www.katariba.or.jp/news/2018/08/24/11996/