1. 自己肯定感を診断できるチェック方法
2. 半世紀以上前から使用されている「Rosenbergの自尊感情尺度」
3. Rosenbergの自尊感情尺度(1970年 星野命氏 訳)
4. 「Rosenbergの自尊感情尺度」の問題点
5. 信頼性・妥当性の高い自己肯定感チェックリスト
6. 日本版RSES(RSES-J)
自己肯定感を診断できるチェック方法
「自分の自己肯定感」や「子どもの自己肯定感」をチェックしたいと思った時に、「簡単に診断できるチェックリストがあればいいな」と思ったことはありませんか。
もしくは、「自己肯定感が低い・高いはどうやって判断すればいいのだろう」と疑問に感じている方もいるかもしれません。
ここでは、自己肯定感の第一人者や研究者が使用している「自己肯定感尺度」についていくつかのチェック方法をご紹介します。
半世紀以上前から使用されている「Rosenbergの自尊感情尺度」
自己肯定感について研究している第一人者に「自己肯定感をチェックできる最も一般的な方法」について聞くと、1965年にRosenbergによって発表された自尊感情尺度と答えるのではないでしょうか。
このRosenbergの自尊感情尺度は、たった10項目の質問に答えるだけで今の自己肯定感状態をチェックするとができます。日本語訳されたRosenbergの自尊感情尺度は複数ありますが、その中でも1970年に星野命氏によって発表された星野訳をご紹介します。
Rosenbergの自尊感情尺度(1970年 星野命氏 訳)
星野命氏によって1970年に和訳されたRosenbergの自尊感情尺度は、4段階評価で自己肯定感を図れるチェックリストになっており、チェックリストの合計点数が高いほど自己肯定感が高いことを表しています。
- 私はすべての点で自分に満足している
- 私はときどき,自分がてんでだめだと思う
- 私は,自分にはいくつか見どころがあると思っている
- 私はたいていの人がやれる程度には物事ができる
- 私にはあまり得意に思うところがない
- 私は時々たしかに自分が役立たずだと感じる
- 私は少なくとも自分が他人と同じレベルに立つだけの価値がある人だと思う
- もう少し自分を尊敬できたらばと思う
- どんなときでも例外なく自分も失敗者だと思いがちだ1i>
- 私は自身に対して前向きの態度をとっている
「Rosenbergの自尊感情尺度」の問題点
半世紀以上にわたって、自己肯定感に関する研究において参考にされてきたRosenbergの自尊感情尺度ですが、いくつかの問題点があることが指摘され始めています。
その問題点は、Rosenbergの自尊感情尺度の日本語訳が複数存在することに起因しています。
その問題点の一つは、同じ質問文でも語順を入れ替えたことで回答内容が変動してしまうといった事象が発生しており、自尊感情尺度の信頼性や妥当性に問題があると言われているのです。
加えて指摘されている点は、質問項目の和訳が同じでも4段評価や5段階評価など、訳した研究者によって選択肢の数が違う点です。
このように、一つの自己肯定感尺度であるにも関わらず、和訳の違いによって捉え方が複数存在してしまい、本来の尺度の信頼性などにゆらぎが生じてしまっているため、もっと信頼性や妥当性が高い自己肯定感の尺度の必要性に言及する研究者が増えています。
信頼性・妥当性の高い自己肯定感チェックリスト
Rosenbergの自尊感情尺度には、いくつかの問題点があることをご紹介しました。では、Rosenbergの自尊感情尺度をしのぐ信頼性・妥当性の高い自己肯定感チェックリストは存在するのでしょうか。
Mimura & Griffithsによって2007年に発表された日本版RSESという自己肯定感チェックリストは、近年、自己肯定感に関する研究者の中でも信頼性・妥当性が高いテストとして用いられています。
日本版RSES(RSES-J)
日本版RSES(RSES-J)は、各設問に対して回答者が4段階で評価を行います。4段階の内容は、「1=強くそう思わない」「2=そう思わない」「3=そう思う」「4=強くそう思う」となっています。
ちなみに、10の質問項目のうち、逆転項目となる5つの質問(時々、自分はまったくダメだと思うことがある/私には誇れるものが大してないと感じている/時々、自分は役に立たないと強く感じることがある/自分のことをもう少し尊敬できたらいいと思う/よく、私は落ちこぼれだと思っていまう)については、「4=強くそう思わない」「3=そう思わない」「2=そう思う」「1=強くそう思う」で加点します。
自己肯定感が低い・高いを判断する基準としては、簡単な目安として20点以下を低い、30点以上を高い基準としており、日本の健常者の平均は概ね25点前後であると言われています。
- 私は、自分自身にだいたい満足している。
- 時々、自分はまったくダメだと思うことがある。
- 私にはけっこう長所があると感じている。
- 私は、他の大半の人と同じくらいに物事がこなせる。
- 私には誇れるものが大してないと感じている。
- 時々、自分は役に立たないと強く感じることがある。
- 自分は少なくとも他の人と同じくらい価値のある人間だと感じている。
- 自分のことをもう少し尊敬できたらいいと思う。
- よく、私は落ちこぼれだと思ってしまう。
- 私は、自分のことを前向きに考えている。
もし、自分自身の自己肯定感が高いのか低いのかをチェックしたければ、上記で紹介した日本版RSES(RSES-J)を用いて確認してみてはいかがでしょうか。
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