1. 基本的自己肯定感を高めにくい「思春期や児童期の子ども達」
2. 思春期や児童期でも自己肯定感が高い子どもの特徴
3. 家族との関係が自己肯定感に影響
4. 思春期/青年期における自己肯定感の高め方
基本的自己肯定感を高めにくい「思春期や児童期の子ども達」
前章では、「他人と比較することなく絶対的で無条件に自らの存在を認める感情=基本的自己肯定感は、他人との関わりの中で育まれる」ということを紹介しました。
しかし、思春期や児童期の子ども達は、自分自身を客観視する視点が養われていく時期であるため、言い換えると「自分と他人を比較をしやすい時期」だと言えます。
つまり、思春期や児童期の子ども達は「私はあの人より優れている」という比較による自信から得られる社会的自己肯定感の影響を受けやすく、基本的自己肯定感は高めにくい状況にあると言えるのではないでしょうか。
では、思春期や児童期の子ども達の中でも自己肯定感が高い人にはどのような特徴があるのでしょうか。
思春期や児童期でも自己肯定感が高い子どもの特徴
実は、思春期や児童期の子ども達の中でも「学校生活に満足している人は自己肯定感が高い」ことが様々な研究から明らかになっています。学級活動や行事に積極的に参加するなど、学校生活に適応していることが自己肯定感にプラスに影響すると言われているのです。具体的な研究内容をご紹介します。
子どもの権利条約総合研究所が5市1町の自治体と共同で2005年10月〜12月にかけて子どもと大人を対象にした「子どもの安心と救済に関する実態・意識調査」では、学校生活に適応していると自己肯定感は高いという主張がなされています。
具体的には、自己肯定感が高い子どもは低い子どもよりも
- 「学校の勉強について今打ち込んでいる、やりがいを感じている」と回答する割合が多い。
- 「クラブ活動・部活動について今打ち込んでいる、やりがいを感じている」と回答する割合が多い。
- 友人や教師からの評価が高い場合は、自己肯定感にも影響することがわかっている。
ということがわかっています。
つまり、思春期や児童期の子ども達の自己肯定感を高めるためには「学校生活の充実度」を高めることが大きく影響していると言えるでしょう。
カタリバでは、学校の枠を超えたコミュニティの中で、やりがいを感じることができる課題解決型プロジェクトを通して他者から認められる経験を積むことができたり、子ども達が震災や貧困など環境に関係なく学校の勉強に打ち込めるような学習支援・場の提供を行っています。
家族との関係が自己肯定感に影響
先行研究を調べてみると、学校生活以外に子どもの自己肯定感に影響する要素として、以下の「家族に関する4つのポイント」があることがわかりました。
- 家族から受容的な感情に包まれていると、コミュニケーションが促進され、結果的に子どもの自己肯定感を支えている
- 親からの愛情を実感しているものは、そうでない子どもよりも自己肯定感が高い
- 両親の支持的な関わりが自己肯定感に影響する
- 両親の良好な関係の認知が子どもの自己肯定感を高める重要な要素と言われている
つまり「学校生活が充実していること」以外に、子どもの自己肯定感を高める要素として「両親の受容、愛情、同一視、関わり」そして「両親同士の関係性」といった外部要因も影響することがわかりました。
思春期/青年期における 自己肯定感の高め方
別の研究では、思春期/青年期において、自己肯定感を高める要素は大きく2つあると言われています。
自己開示的な人間関係
例えば友達に自分の悩みを話すなど、自己開示的な人間関係がある子どもの方が自己肯定感が高いと言われています。その理由は、他者に認められる経験を積み上げることができるからと考えられています。
カタリバでは、自己開示する機会の少ない高校生に対して、自身の未来の夢や漠然とした不安などを言語化する機会、先輩の話からロールモデルを学ぶ機会、そして自分の日常をどう変えていくのかという目標設定をする機会をサポートする授業を累計22万人の高校生に届けてきました。
友達との協力関係の有無
もう一つの要素は、「友達との協力関係の有無」です。友達の悩みを聞き、友達の力になるように助ける子どもの方が自己肯定感が高いと言われています。その理由は、他者との関係の中で自分の存在を実感することができるためだと考えられています。
カタリバでは、高校生が社会課題の解決に仲間と一緒になって取り組む「マイプロジェクト」を支援しています。今までに、地元の魅力を映像にまとめてネット配信したり、自身の不登校体験を生かして不登校支援を行なった実例があります。
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