1. 自己肯定感の高め方が注目される背景
2. 自己肯定感が高い子どもの行動
3. 自己肯定感の高め方を調べる前に
4. 2つの自己肯定感をバランスよく高めることが重要
5. 基本的自己肯定感は他者との関わりの中で高められる
自己肯定感の高め方が注目される背景
日本では、子ども達の自己肯定感の低さが問題視されており、内閣府や文部科学省では子どもの自己肯定感に関する調査や対策に乗り出しているほどです。
子どもの自己肯定感に関心が集まっている背景には、自己肯定感が低いまま大人になると、仕事への満足感ややる気の低さに影響することがわかってきているためです。日本の将来を担う子ども達が、自分たちの存在価値を無条件に認められるようになることが、重要視されてきていると言えるでしょう。
自己肯定感が高い子どもの行動
自己肯定感に関するある調査によると、自己肯定感が高い子どもの行動には以下のような様子が見受けられるとしています。
1.課外活動に積極的に参加する
2.学習意欲が高い
3.友人関係が良い
4.進路の目標が明確
5.教師など大人との関係が良い
6.授業の理解度が高い
7.学校を欠席することが少ない
8.学校を遅刻することが少ない
(自尊感情や自己肯定感に関する研究報告書 平成 22 年 3 月 慶應義塾大学調べ)
自己肯定感の高め方を調べる前に
「日本の子ども達は自己肯定感が低い」と指摘されていることも影響して、日本では「自己肯定感を高める方法」について多くの研究がされています。
それらの研究では、自己肯定感を2つの領域に分けて考えています。自己肯定感を高める方法を調べる前に、まずはこの2つの自己肯定感についてチェックしておきましょう。
「大学生の自己肯定感に及ぼす影響要因」には、自己肯定感の2つの領域に分けて考えています。一つは「私から見た私」、もう一つは「周囲から見た私」です。それぞれの違いにはどのようなものがあるのでしょうか。
私から見た私
自己を他者から切り離して、個人の中で認識して評価することで自己意識を発展させる領域
周囲から見た私
学校の友人や家族など特定の他者や団体から自分がどのように認識されているかを理解し判断することで自己意識を発達させる領域
また、児童の自己肯定感に着目した研究(共同学習が児童の社会的スキルおよび自己肯定感の向上に及ぼす効果)では、自己肯定感を「社会的自己肯定感」と「基本的自己肯定感」に分けて捉えています。
社会的自己肯定感
他者との比較で優っていると感じたときに高められる自信のこと
基本的自己肯定感
基本的自己肯定感は、他者との比較によって形成されるものではなく、絶対的、無条件に自らの存在を認める感情のことを指しています。
2つの自己肯定感をバランスよく高めることが重要
ご紹介したように、自己肯定感には2つの領域があり、先行研究の中では「2つの自己肯定感がバランスを保って育まれることが大切だ」と言われています。
例えば、「私はあの人より優れている」という自信からくる自己肯定感だけが高い場合、他人との比較以外で自分の存在価値を見出すことができません。その結果、周囲との競争に負けてしまった時、それまで支えていた自己肯定感が崩れてしまうことが指摘されています。
もし、基本的自己肯定感もバランスよく培われていれば、周囲と比較することなく、ありのままの自分の存在を認められるようになり、外部環境に影響されることなく自己肯定感が安定します。
では、基本的自己肯定感はどのように高めていけばいいのでしょうか。
基本的自己肯定感は他者との関わりの中で高められる
児童の自己肯定感について研究している専門家の中では、「基本的自己肯定感を高めるには、他者との多様な感情を共有する機会を作ることが有効だ」という意見があります。
具体的には、様々な場面で他者と共に体験した時の心地よさや苦しさ、それらを語り合うことで生じる感情の共有が基本的自己肯定感のベースになるということです。
カタリバでは、この「他者との関わり」に注目し、子ども達が孤立せずに他者を通じて自己肯定感をあげられるような支援を行なっています。
たとえば、被災地の子どもたちに向けた学習支援サポートや居場所作り、全国の高校生向けに大学生との対談をきっかけにしたキャリア支援プログラムの提供、高校生が社会課題解決にチャレンジするプロジェクトサポートなどがあります。
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