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【西日本豪雨】子ども支援ニーズ調査報告②避難所の子どもたちの声 ~岡山県倉敷市真備町より

お知らせ子ども支援

2018年(平成30年)6月28日から7月8日ごろにかけて、西日本を中心に北海道や中部地方など全国的に広い範囲で記録された7月豪雨は、大きな被害をもたらしました。被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。

認定NPO法人カタリバは、2018年7月15日・16日の2日間、現地の子どもたちの状況や教育ニーズを把握するため、岡山県倉敷市真備町を訪問し、井原市のチーム夢源さん、矢掛町のYKGさんと共同で調査を行いました。

現地で見た子どもたちの様子をカタリバ職員の吉田愛美がリポートします。

岡山県真備町は、6つある小学校のうち3つ、中学校は2校ともが浸水等の被害を受けました。

校舎を外から見るだけでは、被災したということがはっきりとはわかりません。しかし、体育館の外壁にかかった時計をよく見ると、浸水した時刻を指して止まったまま。頭上を走る電線には、泥まみれで乾いた教科書が引っかかっていました。あらゆるものが砂をかぶって、倒れたまま。学校は手つかずの状態であることが見て取れました。

現在、町の全ての小中学校で臨時休業となり、このまま夏休みに入ることになります。校長先生にお話を聞きましたが、子どもたちの避難場所は様々で、学校の方でも子どもたちの状況を把握しきれていないとのこと。

子どもたちはどうしているのか? 避難所にいた子どもたちに話を聞きました。

サッカー部の仲間だという男子中学3年生8人。

それぞれ、自宅や親戚の家で寝泊まりをしていて、これまでのように毎日顔を合わすことができていません。
そこで今日は避難所を拠点に集まったそう。

「(今一番欲しいものは)家を修理するお金」。

大人も頑張っているから、今の状況だから、とつぶやき、今したいことは「特にない」と言います。

「自分の家は大丈夫だった。自分だけ(被害が少なくて)申し訳ない」。

こう言った子もいました。

みんな、日中は家の片付けの手伝いをしていると言います。

避難所でおじいちゃんと2人で座っている、小学6年生の女の子。

仲のよい友だち全員が親戚の家に避難していて遊び相手がおらず、日中は他の家族の帰りを祖父と待つ時間を過ごしているそうです。

「習字とピアノを習っていたの。でも教室も家のピアノも使えなくなっちゃったし、多分もうできないと思う」。

そう照れたように笑う彼女。
大人たちの多忙な様子を見て、自分なりに大好きだった習い事を諦めなければいけないのだろうと思ってしまっているのでしょう。

「夏休みの宿題とか、今までは嫌だったけれど、今は勉強したい」。
「ポスターとか作文とか、あれだけ嫌だったのにさ」。

そう言いながら名残惜しそうに、バイバイ、と力なく手を振ってくれました。

「必要なものはシャーペン、もしできたらノートも欲しい」。

そう話す高校2年生の女の子は、隣町の高校に通っており、避難所には家族以外に話せる相手がいません。23歳のお姉さんと話したり避難所の周りを散歩して一日を過ごしているといいます。

「進学したいので、今は勉強が一番不安」。

保護者の方にもお話をうかがいました。

「友だちとの関係もあるし元の学校がいいですけれども、無理なら隣の市の学校に通わせようかと」。

通っていた小学校が大きな被害を受けた子どもたちの両親は、既に隣の市への引っ越しを決めました。無事に二学期がスタートできるのかどうかを心配しています。

別の避難所では、子どもたちの心のケアを気にされているお母さんがいました。

「家を流されてしまったことを子どもたちはどう受け止めているんでしょうかね」。
大好きなおもちゃを取りに「家に帰りたい」と話す小学4年生の男の子をなだめながら、そう話してくれました。

小学6年生の女の子のお母さんは、罹災証明や仮設などの手続きで精いっぱい。
今後の子どもたちのことを他の保護者と話すことはほとんどないのだと言います。

「隣の市へ引っ越したかったですがもう一杯で。市内で探そうかと」。

今は目の前のことで手一杯。「先のことはわからない」。

大人も子どもも誰しもが、先が見えずにしんどい状況です。大人たちに余裕がなくなるのは仕方がないことです。

けれど、私たちカタリバが見てきた東日本大震災や熊本地震のことを踏まえると、子どもたちが今抱えているものは、5年後、10年後の子どもたちの成長に影響していきます。

私たちにできることを、地域の方々とも協力をしながら、その答えを探っていきたいと思います。

※7月15日時点の情報です。現地の状況は日々変化しています。

(カタリバ職員:吉田愛美)

【西日本豪雨】緊急支援「西日本豪雨子どもサポート募金」へのご寄付をお願いします

実態調査を経て、カタリバは現地での活動をスタートしました。

東日本大震災や熊本地震の経験を土台に、現地の状況に合わせた形を模索し、1人でも多くの子どもたちのために、できることから取り組んでいきます。

皆さまのご支援をよろしくお願いします。

▼「西日本豪雨子どもサポート募金」はこちらから

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>>【西日本豪雨災害】被災地の子どもたち レポート1 https://www.katariba.or.jp/news/2018/07/17/11617/

>>【西日本豪雨災害】被災地の子どもたち レポート3 https://www.katariba.or.jp/news/2018/07/18/11637/