【メディア掲載】『生徒指導』に掲載~中高生のリアル×「学びの場」のデザイン~
2017年2月1日発行の教育情報雑誌『生徒指導』2月号(学事出版)に、カタリバが担当している連載コラムが掲載されました。今回は「「学びの場」のデザイン」というテーマで、カタリバ職員の松元雄基が執筆しました。
カタリバが文京区から運営を委託されている文京区青少年プラザ「b-lab(ビーラボ)」は、「中高生の秘密基地」をコンセプトとした青少年施設です。
利用者の中に、受験への不安を抱えながらb-labに通って勉強を進め、ついに合格を掴んだ女子高生がいました。職員である松元はその結果に喜びつつも、「学び」について別のアプローチがあるのではないだろうか?と考え続けていました。
b-labでは週に1度、学習プログラムを行っていますが、当初はなかなか人が集まりませんでした。
そんなとき、私は前述した受験生からの印象的だった発言を思い出しました。
それは「問題が解けなくてもいいから一緒に悩んでくれるだけでも助かる」という声です。
「教わる」と「教える」以外の学びの場をつくれるのではないか。私はマナビ場を軸にビーラボでの学習環境について再考しました。
カタリバでは親や先生などの「タテ」でも、友だちなどの「ヨコ」でもない、少し年上の人生の先輩との「ナナメの関係」を大切にしています。
その「ナナメの関係」を学びの場でも応用できるのではないかと思い、手始めに、学びに対して大人と子どもの垣根をなくす取組を行いました。「学ぶ側」と「教える側」の関係を対等に近い状態にした、「ナナメの学びの場」づくりがはじまったのです。
まずは、スタッフの専門性に特化した講義型のプログラムを導入、そこから「多様な学び」を軸とした新しいコミュニティが生まれました。回数を重ねるごとに、中高生自身が自分の興味のあるテーマについて学んだことを発表するような企画が少しずつ増えています。
(例:菌のすごさを伝えたい、地図の見方や地図記号の歴史、分子ガストロノミー、江戸の歴史など)
b-labでは、こうした「ナナメの学びの場」で得た経験によって、彼らがもともともっているコミュニティへのまなざしが変わるきっかけになることを目指しています。