【メディア掲載】『生徒指導』に掲載 ~中高生のリアル × 進路選択の準備~
2016年9月1日発行の教育情報雑誌『生徒指導』10月号(学事出版)に、カタリバが担当している連載コラムが掲載されました。連載7回目となる今回のテーマは中高生の「進路選択の準備」。カタリバ職員の長谷川勇紀が担当しました。
高校2年生向けの「進路選択」に特化した「カタリ場」の授業(キャリア・リテラシープログラム)の場で、ある大学生ボランティアが「大学3年生になるとき、私は学部を変えました」という経験を語りました。彼女は希望していた大学の薬学部に入学し、充実した学生生活を送っていたのですが、あるとき立ち止まって悩みはじめてしまったのだといいます。
彼女が憧れていたのは、薬剤師としていきいきと働く母の姿。でもその憧れは「薬剤師」ではなく「いきいきと働くこと」だったことに気づきました。そこから自分がいきいきと働ける進路を改めて検討した結果、心理学部への編入を決めたのです。
こうした大学生の話を聞いた高校生からは「進路について、先輩も悩んでいることを知って安心しました」という感想が出てきます。この「悩んでもいいんだ」という安心感こそが、進路を考えはじめるための準備になるのではないか、とこの記事では述べています。
生徒たちもさまざまな情報に振り回されてしまい、やりたいことが決まらない、学びたい分野を決めきれない、目標がないから勉強する気が起こらないという負の連鎖が起こります。片や、進路を決めるタイムリミットは刻一刻と近づき、焦りと不安に生徒は押しつぶされそうになってくるからこそ、最終的に生徒は“とりあえず決めた”選択で安心感を得ようとします。
“先輩の話”を聞くことを通して、“決まっていた”と思っていた自分の進路が、実は深く考えた結果の選択ではなく、ましてや、進路を決めることが自分の将来に大きく影響するということすらも、なかなかイメージがつかめない中で“とりあえず決めた”選択だったと生徒は気づくのではないでしょうか。そして、将来に対する健全な危機感を抱くとともに、「先輩も悩んでいたんだ」「私も悩んで良いのだ」という、腰を据えて考える安心感を手に入れ、本気で“進路を考えはじめるための準備”が整っていくのではないかと思います。
(記事より抜粋)
カタリバはこれからも、生徒が本気で進路を考えはじめるための準備の手助けを、全国に広げていければと考えています。