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【今村レポート】東北のバトンを熊本・益城町へ 来年3月末まで支援を継続

レポート

こんにちは。NPOカタリバ代表理事の今村久美です。

甚大な被害を受けた熊本県益城町で続く被災状況を見て、カタリバは子どもたちへの支援活動をまずは来年3月まで継続することに決定いたしました。

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以前、熊本で起きた震災とどう向き合うか、悩みを記載させていただきましたが、5月3日から教育ニーズの現地調査を行いながら、緊急的な教育支援に対応してきました。

熊本の震災を扱うメディアも減り、「まだ続いているんだ」という声すら耳にするようになりましたが、避難生活を送る子どもたちは今もなお、余震に怯えながら過ごしています。

「一人になるのが怖い」

スタッフにぽつりと語ってくれるこうした言葉でさえ、 子どもたちの多くは家族に気を遣って口に出すことを我慢しています。私たちの想像以上に大きなストレスを抱えながら、懸命に頑張っているのです。
東北の震災の際もそうでしたが、大人も子どもも我慢が続くことで、結果的に家族の喧嘩が増えたり、子どもたちの心に影が残ったりしながら、想像し得ないところでその影響があらわれるものです。
さらに、九州地方を襲った豪雨によって、熊本では土砂災害など新たな被害が発生しています。

こうした状況だからこそ、学校や家庭と連携をしながら、子どもたちが前向きに過ごせる第3の居場所と学びの支援が必要だと判断しました。

■女川町から益城町へ移住し、チームの中心を担う芳岡孝将

活動の中心を担うのは、2012年から4年間にわたり、宮城県女川町で活動を続けてきた芳岡孝将です。繊細なコミュニケーションが必要とされる震災支援において東北での経験は、様々な状況に解を見つける想像力になります。東北の皆さんに叱咤激励をされながら育てていただいた彼ならば、益城町の皆さんのお役に立てると考えました。

また、活動のアドバイザーとして、元女川中学校教諭だった佐藤敏郎先生もチームに参画しています。現地調査の段階から座談会を開き、震災直後の緊急時の子どもたちに求められる支援の形を丁寧に設計するために、日々インターネットを使いながら会議を開いています。

そして、熊本出身の今村亮、先月から参加してくれた大分出身の井下友梨花による4人の専門チームで、じっくりと現地の先生方との対話を重ね、求められる支援を探りながら活動を設計してきました。

東北で行ってきた活動同様、地元の大学生ボランティアの協力を得ながら、彼らと共に学びの機会と居場所の提供を通した心のケアを行っています。

SONY DSC<木山中の生徒に数学を教える 芳岡孝将>

■善意ゆえ、トラブルメーカーにも成りうる「支援」の難しさ

東北の時もそうでしたが、今回の震災においても、外部から入る支援団体の活動が、結果的に被災者の皆様にとってトラブルメーカーになってしまうということは珍しくありません。支援者側の活動の源泉はすべて善意をベースにしているため、受け手側も実は「いらない」と思っていても、支援者の人たちを気遣って、本音を言えないということもあります。 支援者側が被災者の方に過剰な感情移入をしたり、冷静さを欠いた押し付け支援をしてしまうことは、私たちだってしてしまうかもしれない落とし穴なのです。

私たちが東北をはじめて訪れた時も、最初からうまくいったわけではありませんでした。5年という時間をかけて対話を重ね、ようやく同志として子どもたちの教育活動を行える今があります。東北でのこの学びを活かして、熊本で活動するメンバーは「ありがた迷惑」にならない支援の形を、本当に日々気を張りながら進めてきました。

そんな私たちの張り詰めた気持ちを察したのか、益城町教育委員会の坂本文隆さんから、ありがたいメッセージをいただきました。

【益城町でのカタリバの活動を力強く支えてくださる教育委員会の坂本文隆さん】
「ありがたいことに一時的な支援の申し出は多くいただくのですが、継続的な支援は少ないことが悩みです。その中でカタリバは、関わり方のスタンスが非常に良いと思っています。まず調査をして、必要なこと、できることを考え、試しながら次の手を考えていく。教育委員会や学校と密に打ち合わせをし、現場の状況を知らせていただけるので、ニーズに合った形で的確に対応していただいていますし、今後の見通しを持って提案していただけるので非常に助かっています。 」

また、益城町立木山中学校の永瀨善久校長からもメッセージをいただいています。

【益城町立木山中学校の永瀨善久校長】
「支援が始まって、子どもたちの表情が明るくなってきました。子どもたちは年齢が近い大学生のボランティアの方に、私たちに話す以外のこともたくさん、相談したり話したりしていて、大事なカウンセリングの場にもなっていると思っています。
この震災を言い訳に学力が落ちた、というのではなく、逆に震災に負けず頑張って勉強して学力が上がった、行きたかった高校に受かった、と言ってもらえるようにできたらと思っているので、協力してサポートしていただけたらと思います。」

SONY DSC<放課後学習で生徒の質問に答える井下友梨花>

■バトンをつなぐ

「地震の恐怖を知っているからこそ、特に、受験を控えた熊本の子どもたちが今どうしているのか心配しています。もし熊本の支援をされるのであれば、ぜひよろしくお願いします。」
これは、女川町で2人のお子さんをコラボ・スクールに預けていただいた木村さんからのメッセージです。
この想いに代表されるように、東北の皆さんが今回の熊本の震災に対して心を痛めています。

東北からいただいたバトンを熊本県益城町で形にしていきたいと考えます。

子どもたちに必要な支援を継続して届けていくためには、皆様からのご支援が必要です。 熊本の子どもたちの未来のために、どうか皆様のお力をお貸しいただけますようお願いいたします。

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▼熊本の子どもたちに、学びの機会と居場所を

「熊本地震子ども応援募金」