【レポート】全国高校生 MY PROJECT AWARD 2013
2013年12月14日(土)、
「全国高校生 MY PROJECT AWARD 2013」を開催しました。
東京・日本橋にあるメリルリンチ日本証券株式会社様に、
会場としてオフィスのホールご提供いただき、
地域の課題解決に取り組む高校生たちが一堂に会して
プロジェクトごとに活動内容をプレゼンテーションしました。
その熱気あふれる1日の様子を、ご紹介します!
■
今回集ったのは、北は岩手県から、南は岡山県まで、
様々な地域で活動を行う以下の12プロジェクト。
「100人Photos」 (岩手県大槌町)
「Starry Night」 (岩手県大槌町)
「郷土芸能復活(手踊り)」 (岩手県大槌町)
「復興木碑プロジェクト」 (岩手県大槌町)
「遊び場プロジェクト」 (岩手県大槌町)
「底上げYouth」 (宮城県気仙沼市)
「くじらステーション」 (宮城県石巻市)
「TOMOTRA」 (福島県いわき市)
「僕らの一歩が日本を変える」(東京都)
「こどなひろば」 (東京都)
「関西高校生文化祭」 (大阪府)
「岡山高校生会議」 (岡山県)
今回初めての開催となる「全国高校生 MY PROJECT AWARD 2013」は、
審査委員長を務める、鈴木寛さんの開会宣言から始まりました。
「今日は、それぞれの地域で一生懸命頑張っている人が集っていると思います。
審査員にも、そんな一生懸命なみんなを応援しに駆けつけたくなってしまう、
おせっかいな大人たちが集まりました。
今回、僕たちがとっても大事にしている基準があります。
それは、『自分のいるコミュニティの抱える課題に対して、
真摯に向き合い課題解決を行っている高校生』であるということです。
しかし課題というのは、すぐには解決しません。
それでも一生懸命向き合い続けることが大切です。
いいプレゼンも大事だけれど、ぜひみんなが同志・仲間を作ってほしい。
仲間は、日本中にいます。今日は、はじまりのはじまり。
今日一日、真摯に向き合いましょう!」
“おせっかいな大人たち”こと特別審査員には、
自身も各方面で日々課題解決に勤しむ、こんな方々にお集まりいただきました。
鈴木 寛(前文部科学省副大臣/大阪大学特任教授)
高橋 博之(東北食べる通信 編集長)
荒井 優(公益法人東日本大震災復興支援財団専務理事/ソフトバンク㈱社長室)
原 尚美(税理士/一般財団法人 戸沢暢美財団 理事長)
酒井 穣(㈱BOLBOP代表取締役社長/カタリバ理事/事業構想大学院大学 客員教授)
山崎 大祐(㈱マザーハウス 取締役副社長)
南郷 市兵(文部科学省生涯学習政策局)
■
午前に行われたのは、予選プレゼン。
3つのブロックに分かれて、特別審査員や一般参加の方々の前で
各プロジェクトが発表を行います。
午後の決勝に進めるのは4プロジェクト。
みな、丁寧に育ててきた自分たちのプロジェクトの発表を行いました。
「私が目指しているのは、震災で学んだことや経験を話すことで、
これから起こる災害の被害を少なくすることです。
そのために、身近にある自然の美しさと恐ろしい一面とを感じながら
生きて行く事の大切さを、伝えて行きたいです。」(Starry Night)
「まだ芽が出ていない種は、私たちのまわりにたくさんあります。
岡山高校生会議はそんな高校生の、水であり土になりたいと思っています。
そうすれば種からはいつか芽が出てくるはず。
10年後、20年後、たくさんの人が花を咲かせて、
よりよい社会になることを目指して、活動していきます。」(岡山高校生会議)
また、3人で発表したグループは今誰が話しているか分かるように
ボールを回しながらプレゼンをしたり、あるグループは、
プロジェクトを始めるきっかけになった出来事を寸劇で再現したり、
自分たちがテレビ取材された時の映像を流したり。
それぞれに「自分たちがやっていることや想いが、しっかり伝わるように」と
考え抜かれた工夫も光っていました。
■
参加者と高校生とで交流しながらお昼ご飯をとったあと、
午後は、予選を通過したグループが発表する、決勝プレゼンからスタート。
審査の結果、決勝へは5つのプロジェクトが通過し、
改めてそれぞれが発表を行いました!
「100人Photos」 「復興木碑プロジェクト」
大槌町の100人の笑顔を撮影し、 地域の防災意識を継承していくために、
Photo Bookを作成、写真展を開催。 数年に一度、木碑を建てる活動を実施。
「遊び場プロジェクト」 「TOMOTRA」
震災後、外で遊んでいる子どもたちの 地元の高校生でいわきの魅力や
姿を見なくなったことに問題意識を持ち 3.11での津波・原発事故の被害や現状を
どうしたら子どもたちが元気に遊べる 全国に発信すべく、HISとコラボして
ようになるかを模索中。 いわき復興応援ツアーを企画・実施。
「底上げYouth」
気仙沼の観光をより盛り上げるため、
新たな観光名所を発掘し、発信。
■
どのプロジェクトも甲乙つけ難く、決勝プレゼン後の審査は大紛糾。
予定より時間を延長して行われました。
そんな喧々諤々の議論の末選ばれた、栄えある“総合1位”は・・・
「底上げYouth」(宮城県気仙沼市)
「復興木碑プロジェクト」(岩手県大槌町)の同時受賞となりました!
左から、底上げYouthの阿部さん・三浦さん、復興木碑プロジェクトの吉田さん
「底上げYouth」が行っているのは、
恋人という言葉を初めて詠んだ歌人・落合直文のふるさとである気仙沼を
”恋人のまち”として紹介し、地域の大人も巻き込みながら
観光によって盛り上げていこうというもの。
クラウドファンディングなどを駆使し、資金面でも自立していること、
地元の大人など多くの人を巻き込んでいること、
”恋人”というテーマの高校生らしさ、などが評価されました。
「復興木碑プロジェクト」は、
震災の記憶と防災意識を風化させないために、
手入れがいらない石碑ではなく、
時間が経つと腐って定期的に建て替えが必要な”木碑”を建てる、というもの。
一度は提案を大槌町に断られたものの、
まわりの大人に協力してもらうための工夫を重ねながら
粘り強くチャレンジし続けたこと、”ハードではなくソフトへ”という、
これからの新しい防災のあり方を提示したことなどが、
審査員から評価されました。
「2つのプロジェクトは対象とする地域の広さも、
アプローチの深さも、関わる人の人数も違う。
底上げYouthには”広さ”があり、復興木碑プロジェクトには”深さ“がある。」
どちらも大切であるからこその、同時受賞となりました。
その他にも、総合1,2,3位に加えて様々な賞が贈られました。
◆総合表彰(決勝大会で審査)
総合1位
「底上げYouth」(宮城県気仙沼市)
「復興木碑プロジェクト」(岩手県大槌町)
総合3位
「TOMOTRA」(福島県いわき市)
「100人Photos」(岩手県大槌町)
◆審査項目賞(予選大会で審査)
グッドテーマ賞:必要性
「遊び場プロジェクト」(岩手県大槌町)
グッドプラクティス賞:活動実績
「岡山高校生会議」(岡山県)
クリエイティビティ賞:創造性
「くじらステーション」(宮城県石巻市)
オリジナリティ賞:あなたたちらしさ
「Starry Night」(岩手県大槌町)
グッドスピリット賞:プレゼン者の思い
「僕らの一歩が日本を変える」(東京都)
◆チャレンジ賞
「関西高校生文化祭」(大阪府)
「こどなひろば」(東京都)
「郷土芸能復活(手踊り)」(岩手県大槌町)
◆高校生特別賞:高校生からの得票点数を最も集めた組
「底上げYouth」(宮城県気仙沼市)
各賞に贈られた賞状には、こんな言葉が綴られています。
「あなたは、自分がいるコミュニティを想い、
気づいてしまった起きている課題について真摯に向き合い、
あなたができる範囲でまずは行動を起こし、チャレンジをしてきました。
あなたとあなたの活動は、日本中の高校生たちのロールモデルです。
THINK GLOBALLY, ACT LOCALLY.
あなたの活動に敬意を持って、
マイプロジェクトアワードを受賞されたことを、
ここに表します。」
受賞されたみなさん、本当におめでとうございます!
最後には、プレゼンターではなく
”観覧者”として参加した高校生から、こんな感想が。
「みなさんの発表がすごくて、正直”やばいな”と思いました。
私は生徒会をやっているのですが、今日を受けて、
もう少し日常の自分たちの考え方も変えようと思いました。」
「何か行動したいなと思っていたけど、何となく動けずにいる自分がいました。
でも、今日のみなさんのアクティブな活動を見ていて思いました。
僕もやります!女川町のために。
来年、このアワードに出場します!」
当事者として、目の前の課題に目を逸らさず向き合う高校生の姿は、
観覧者として参加した高校生にも、火をつけたようです。
また、後日「僕らの一歩が日本を変える」の
千葉 雄登さんが書いてくれた感想も、一部ご紹介します。
「結果はGood Spirit 賞という形でしたが、
賞よりも見えてきたものが多い2日間。
気仙沼、石巻、大槌などからたくさんの高校生が来ていて、
いろいろな人と出会うことができました。
見えてきたものをまとめると、その多くは課題です。
(中略)
でも課題と同じくらい、多かったのが応援してくれる人々の声です。
挑戦しようとしている課題はとてつもなく大きい、
でもそれに挑戦していく姿勢を評価してくれたり。
本当に日本を変える可能性を感じてくれて、
諦めないでという声をかけてくれたり。
あんなことを言われたら、投げ出せなくなりますよね。
少なくともあるであろう来年のマイプロに向けて活動していきます。
来年のマイプロにも、何らかの形で関わりたい気持ちでいっぱいです。
(中略)
最高の2日間を提供してくださった、認定NPO法人カタリバの方々に感謝し、
一緒に参加して最高の思い出をつくってくれた
仲間の高校生に感謝しています。
これからも僕は熱意を胸に進みます。」
どの賞をもらったプロジェクトも、
それぞれに今の自分たちを見つめ直し、これからへのエネルギーを持ち帰る、
そんな機会になったようです。
レポートのおわりに、カタリバ代表理事 今村久美が
開催に寄せた言葉を紹介して、締めくくりたいと思います。
「人口減少社会における地域づくりの様々な諸問題に対して、
市場の経済性や行政による課題解決だけでは
そう遠くない未来に限界が来ます。
コミュニティに属する個々が利他性と意欲を持ち、
一人ひとりのアイデアと、人と人とのつながりを軸に、
テクノロジーを駆使しながら、コミュニティソリューションを提唱し、
実行できる事が、そのコミュニティの力になるでしょう。
このAWARDでは、18歳までの個人やグループが、特定した課題に対して
アイデアを以て解決策を実行することを表彰することにより、
彼らの存在を高校生世代のロールモデルとして発信します。
自ら機会を作りプロジェクトを実行することは、
その活動の受益者に対する成果のみならず、
プロジェクトベースドラーニング型の学びとして、
生徒自身を大きく成長させることにつながると考えています。
より大きな成長意欲を引き出すために、
様々な地域で頑張っている同世代と
切磋琢磨できる機会を作りたいという思いで、
今回新たな企画を考案いたしました。
それぞれが、それぞれの地域で点でしかない存在であっても、
つながりあえば、面で社会を変えて行くパワーになるのではないか、
そんな風に考えます。」
参加したすべての高校生の皆さん、素晴らしい発表をお疲れさまでした。
ご来場・ご協力いただいた皆様、ありがとうございました!