2011年度の決算報告 および 東北復興事業への寄付金の活用方針につきまして
特定非営利活動法人NPOカタリバ(東京都杉並区、代表理事 今村久美)は、
新日本有限責任監査法人様とのアドバイザリー契約のもと、
2011年度(2012年3月期)の決算を確定いたしました。
また、2011年度に東北復興事業の立上げに伴い、いただいた寄付金を
指定正味財産として管理し、2012年度からの東北復興支援活動に限定して
使用するため、「NPOカタリバ東北復興支援基金」を設置いたします。
2011年度、東北復興事業をスタート
2011年度、NPOカタリバは東北復興事業を開始いたしました。
被災地の放課後学校「コラボ・スクール」を設立して、
「女川向学館」と「大槌臨学舎」合わせて、
約300名の生徒に学習指導や心のケアを行ってまいりました。
また、東北の高校生のキャリア学習企画「キズナ・ハイスクール」により、
103名の高校生の復興への夢を応援いたしました。
これらの活動の費用の多くは、共感いただいた法人・個人の皆様からの
寄付金を充てさせていただきました。法人・個人の皆様のご支援により、
2011年度の総収入は316百万円(10年度66百万円)と増加しました。
※総収入とは、別表の「活動計算書」において、経常収益(214百万円)と
指定正味財産増加額(102百万円)を合計した金額となります
被災地での事業展開のため、人員・スクール運営に投資
東北復興事業を展開するため、従来の東京都(杉並区)に加えて、
2011年度には、宮城県(女川町)と岩手県(大槌町)に拠点を設置いたしました。
また、コラボ・スクールの教務・運営職員を中心に採用活動を行い、
有給スタッフは47名(2012年4月末現在)と前年同月比で約2倍に増加しました。
現地出身者も含めて優秀な人材を適正な賃金で雇用することにより
現地経済を継続的に活性化させ、復興の一助とすることも目指しております。
送迎バス代などコラボ・スクールの運営費も加わった結果、
経常費用は172百万円(10年度61百万円)と増加しました。
2012年度以降、コラボ・スクールの運営には、
1校で年間60百万円程度の費用を想定しています。
「教育・教育プログラム開発」に38%、
「教育環境・整備・運営」に17%など活用して、
子どもたちの学習を支援していく予定です。
地域からの要望を受け、コラボ・スクールは継続的に運営
コラボ・スクールでは寄付金を有効に活用して、「学びの場の提供」や
「震災で傷ついた心のケア」などに成果をあげてまいりました。
たとえば女川向学館では、勉強時間が被災直後と比べて約2.7倍へとアップ。
女川向学館・大槌臨学舎の卒業生123名のうち、約98%が第一志望校に合格しました。
設立当初は、震災から3年間はNPOカタリバが主体となりサービスを提供したうえで
地元で雇用した方々の独立を支援する、という形への移行を計画していました。
一方、これらの成果に一定の評価をいただき、
生徒や保護者、地域住民や行政機関などから、
「コラボ・スクールを継続して運営してほしい」という要望を
強くいただいておりました。
これらの期待を受け、NPOカタリバが主体となり、コラボ・スクールを
数年間継続して運営することにいたしました。
寄付金を長期的に活用するため、「NPOカタリバ 東北復興基金」を設立
継続的な事業展開を前提にした財務計画では、
現状では、2013年度には運営資金が不足する試算となっております。
また、2011年度には多数の法人・個人からご寄付をいただきましたが、
東日本大震災から時間が経過するとともに、金額も減少することを想定しております。
そこで、2011年度に東北復興事業への使用を目的としていただいた寄付金・助成金
234百万円のうち、131百万円を「一般正味財産」に振替えて11年度の支出に充て、
残りの102百万円を「指定正味財産」として、12年度以降に繰越して使用いたします。
この指定正味財産が公正に管理され、東北復興事業に適正に活用されるため、
NPOカタリバ内に「NPOカタリバ東北復興支援基金」を設立いたします。
基金は、NPOカタリバが行う他の特定非営利活動資金と区分するとともに、
基金の被災地支援活動費への取崩しについては、毎期首に事業計画を検討し、
理事会の決定をもって行うなど、基金の公正な活用に注力してまいります。
※貸借対照表における、資産の「NPOカタリバ東北復興支援基金用預金特定資産」と
正味財産の「NPOカタリバ東北復興支援基金」の差額は、
東北スタッフの給与・法定福利費の、本部口座からの立替未精算分です。
NPOカタリバは、2011年度にいただいた寄付金を、公正かつ長期的に運用しながら、
被災地に根を下ろした継続的な支援活動を行ってまいります。
また、コラボ・スクールの数年間の継続的運営を前提に、
想定される資金不足に対処するため、
引き続きファンドレイジングに注力するとともに、行政予算や事業収入など
さまざまな関係者との協働による運営資金の調達にも、チャレンジいたします。
これらにより活動の持続可能性を担保したうえで、
「東北から、10年後のイノベーターを輩出する」を目指して
教育活動を行ってまいります。