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前例のない集団避難。国家的な実験にいま思うこと[代表のつぶやき]

vol.326Voice

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category #代表のつぶやき

writer 今村 久美

輪島・珠洲・能登町の中学生が1月中旬から3月の終業式まで一斉避難した取り組みについて、教育長・校長・保護者や子どもたちの声を拾った振り返りの記事が出ていました。
https://digital.asahi.com/articles/ASS4H2JP1S4HOXIE04SM.html
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記事の中で私もコメントさせていただきましたが、災害後の数カ月間を、子どもだけを集団避難させる試み自体、はじめて聞きました。戦時中にあったと聞く「疎開」みたいなものでしょうか。

子どもたちの学ぶ機会を止めないためにと、学ぶ場の選択肢を用意しようと、スピード重視で決行を意思決定されたこと自体、あの混乱期によくなさったと私は思っており、まずはそこに敬意を持っています。なにが正解かわからない中、条件をそろえながらリーダーが即断即決したものは、その後いろんなことが起きます。(あとでリカバーすればいいので、何もやらないよりよっぽどいい)

今回、「楽しかった!行ってよかった!」という子もいれば、「人間関係がつらかったから帰還した」という子もいたし、「勉強したいからこそ帰宅した」という子もいました。逆に行かずに地域に残ることを決めた子の中には「保護者のもとで生活したい」という子もいたし、もともと不登校気味な子の中には「元気な子たちがみんないなくなって、外を歩きやすい」ということを言っている子もいました。

また、3カ月間の修学旅行状態の生活支援を教員たちがするということ、そのうえで学校教育に変わる授業もしなければいけないということは、先生たちにとってとてもたいへんで、苦しそうでした。全国から応援教員がかけつけたそうですが、そんな対応含め、過去に類がない国家的な実験だったともいえると思います。ナイストライ!という前提にたって、今回の実践の価値を明らかにして社会に共有しつつも、「次にやるなら……」と、この経験を国か県が主導して検証する価値は大きいと思います。
Writer

今村 久美 代表理事

79年生まれ。岐阜県出身。慶應義塾大学卒。NPOカタリバ代表理事。ここではゆるくつぶやいていきます。

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