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能登半島地震の被災地で “安全な” 支援の輪を広げるには[代表のつぶやき]

vol.322Voice

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category #代表のつぶやき

writer 今村 久美

能登半島の方々と関わりはじめて2か月が過ぎた。彼らを一言で言うと、「はがゆいくらいに奥ゆかしい素敵さ」。

七尾の人は「奥能登の方がたいへんだから……」。能登町の人は「珠洲や輪島の方がたいへんだから……」。珠洲の人は「輪島の方が大変だから……」。輪島の人は「二次避難してる人の方がたいへんだから……」。二次避難先の人は「残ってる人たちの方がたいへんだから……」。そうなんだけど!もっとわがまま言って、あちこちの支援を自分のなりわい再開につなげていいのに……!

確かに奥能登にたどり着く道が限られていたから、支援自粛の合理性は分からなくもない。だけど、もうそろそろよさそうです。

これまで見てきた過去の被災地では、2か月もたつと良くも悪くもまちは支援者の活気であふれていた感覚がある。今回は、どこを歩いても、しんとしてる。もともとここに住んできた若い人は金沢などに避難した人が多い。子育て家庭が、避難先の地域で新しい小学校に入り、そこにコミュニティができて居心地がよければ、きっと奥能登には帰ってこない。それでいい。今は、正解は自分の居心地の良さや合理性で決めるべきだから。

だからこそ、たくさんの遠くの人にも、奥能登に関わってもらいたい。そうしたら、きっと10年後、20年後、ここを大切にしたいと思える人が増えるチャンスにもなる。

能登に関係をしたことがない遠くの人たちは、もうすぐこの地震のことなんて忘れてしまいそうな気配もある。だけど、逆に言うと、関係すれば大切に思える地域になる。

ボランティアセンターの受け入れ人数が少なくても、私たち現地にいる民間でマッチングする企画もののボランティアも、もっと生まれてきてもいいはず。そういう企画が必要なんだと思う。

私が運営するこども支援チームのメンバーに参加してくれてる、輪島からの避難者の彼女は今日こんなことを言っていた。「うちの店は全壊したからもう店は潰すしかない。今は、うちの親(つまり、おじいちゃんとおばあちゃん)が、そーっとお店に入って、少しづつものを出して、きれいに拭いて、まだ売れそうなものをなんとか加賀に運んで、ホテルに並べてもらってる。残りをどう売ればいいか……」。

私に、「能登支援で、なにか自分にできることがあったら言って」と言ってくれる人も増えてきた。きっと、できることで手伝いたいと思ってる人はたくさんいるんだと思う。こういう具体の案件と、支援をしたいと思っている信頼できる人を、私の目利きでちゃんと仲介して、マッチングしていけばいいのかもしれない。

今は、マクロよりも、安全な具体のつながりが、一歩一歩の道を作っていくのかもしれない。つぶやき。
写真は、なんとか生き残ってくれた、珠洲焼。

Writer

今村 久美 代表理事

79年生まれ。岐阜県出身。慶應義塾大学卒。NPOカタリバ代表理事。ここではゆるくつぶやいていきます。

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