小中学生の長期欠席・不登校が激増。カタリバが着目する5つのポイントとは[代表のつぶやき]
小中学生の長期欠席・不登校が異例の激増。いったい何が起きているのでしょうか。昨日文部科学省が発表したデータを、私なりに読み解きながら考え方を記した上で、私たちカタリバチームが今後、行政と連携しながら取り組む重点的な取り組みをまとめました。
学校に行けない?行かない?学校長期欠席の小中学生が41万人現象のとらえ方と外せない論点とは。
とても長くなってしまったので、ポイントとなる論点だけここに書いておきます。(本文の構成と前後します)
1)令和3年度の小中学生の長期欠席者は413,751人(前年度287,747人)
うち、不登校の子どもの数は全国で24万4940人。
9年連続で増加しているが、昨年度からの増加数は、約4.9万人で24.9%増加。スピードが例年の増加率平均7.2%と比べ桁違い。
2)不登校支援は、未来の社会への合理的な投資。
この課題をこの子個人の未来のため、という視点のみで語るべきではない。誰ともつながれない状態を放置することは、生涯にわたるひきこもりにつながりやすい。これは、『働き盛りの世代』が『子どもと高齢者を支える』という基本的な社会システムを、危機にさらしているようなもの。子どもの教育は、未来のための予防医療みたいなものだととらえるべき。問題が小さいうちに、社会が確実に手を差し伸べることは、とても合理的な未来への投資。
3)積極的不登校は誰にでも選べる選択肢ではない。
「行きたくないなら行かなくていいんじゃないか」そんな声も少なくない声として聞こえるが、それは、家庭の経済的に学校教育の代替に対して自費で支出できること、そして地域に選択肢があること、その条件が揃った人にのみ許された選択肢である。(ちなみに人気のフリースクールは定員超過で子どもをすべて受け入れられない。振り落とさなければいけないので、どうしても子どもを選ばざるを得ない。その時点で、すべての子どもを引き受けている公立とは、教育内容だけで良い悪いの単純比較はできない)
4)防ぎたいのは、子どもたちが社会から孤立していくこと。
不登校のうち36.3%が誰の支援も受けられていない。最も着目すべきはこの数字だと思う。取り残されている人を具体名で把握し、アウトリーチする必要がある。そして、学校だけを選択肢にせず、ここならつながれると子どもが思える受け皿の質・量を桁を変えて整備すべき。
5)「ひとりでも学びにつなぐ」支援から「誰一人とりのこさない」支援をめざして、行政・学校・民間が共通の目標を追う “コレクティブインパクト” を目指した連携を本腰入れてすべき。
カタリバが今後、行政連携において重点を入れるのは下記の4つ(いまのところ)
-1 子ども自身が、学校・教育支援センター・学校の別室・メタバースなどを行き来しながら、学びと人とのつながりをあきらめない、新しい当たり前の在り方を開発する。(連携:埼玉県戸田市・広島県・東京都文京区・足立区など)
-2 行政と民間が対等に対話し、誰一人取り残さないコレクティブインパクトを目指した不登校政策を実践する。(連携:島根県雲南市)
-3 教育支援センターを「多様な居場所とつなぐハブ」にアップデート。地域の公共施設や民間団体を公的連携支援機関として認定し、子どもと “学びの居場所” をつないで伴走する。(実証連携自治体 探索中)
-4 支援リソースを自治体ごとの自前主義で完結せず、シェア型行政サービスを実装する。(実証:経済産業省 未来の教室実証事業)
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0)大前提として・・例年このデータのとり方にはいささか疑問がある。
・例えば不登校理由で一番多い「無気力」というのは不登校の理由として適切なのか。無気力は、育ってきた環境の中で直面する困難さなどの結果として起きる状態ではないか。
・教員や学校が教育委員会に対し「教職員との関係性」が不登校の原因と、報告をするか?誰しも目の前の課題に対して、自分に原因があるとメタ認知することは難しいもの。教員としては、本人や家庭に何かしらの課題があるから、学校に不適応になり、結果不登校になったと考えてしまうのではないか。
それを前提に、調査を再設計すべき。
長期欠席の中の、不登校にカウントされないカテゴリについても、疑問が残る。(これについては記事に)
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私自身も理解を深めたかったのでまとめましたが、評論したかったわけではありません。私の立場は、実践者です。子どもたちの悲鳴を受け取り、少しでも事態を良い方向に進めていくために、気を引き締めて、具体的な実践を重ねたいと思います。
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