学校に関わる人の多様性を高めていくために[代表のつぶやき]
学校のICT環境整備や小学校の35人学級の実現で、教員の人材確保と質向上が一層求められている事態を受け、文科省内に検討本部を立ち上げることが表明されました。
喫緊かつ最優先課題だと思います。
1人1台デバイスを配置して、ネット環境を整えても、子どもたちが学ぶには、学びのナビゲーションをする伴走者が必要です。
親がそれを担える家庭で育てば世界中を舞台に選択肢を持てますが、むしろその環境にある人の方が、少数派かもしれません。
教育においては、親以外に近くで子どもたちを見立て、個人もしくは学級にとって必要な学びを可変的にコーディネートしてくれる人がとても大切です。どんな地方部に行っても、それができる先生がいるということが、これまでの日本の教育の最大の強みだったのだと思います。
しかし今は、先生という仕事が選ばれなくなってきています。この変化の早い時代に、画一的で変化が苦手な集団であるということも、理由の一つかもしれません。
新しい学びをつくっていくためには、これまで「教員の質」と言われてきた前提を疑わなければいけない。例えば、学校で教えたい全ての人に対して、教員免許取得のための59単位全てが必要なのでしょうか。様々な業種がそうしているように、学校にも多様な経験値を持った人々を巻き込んでいけると、風通しが変わるのではないかと思うのです。
多様な人々が学校の教壇に立つ方法については、「特別免許状や臨時免許状という仕組みがあります」と制度を作る側の方から説明を受けることがありますが、特別免許状は採用側の想像力が必要で、活用実績が少ない。ニーズを持つ側が「どんな人をどんなふうに活用しようか」とイメージすることが難しいのかもしれません。
また臨時免許状は、育休代替や免許更新までの一時活用など、あくまで普通免許状を持つ教員を採用できない場合のための制度として運用されているのが現状です。
例えば、「こんな人材が現場に入ったらこんなことができる」と現場リーダーに向けて提案できるような人材プールを国の主導でつくり、攻めの姿勢でマッチングする。その試みの実施にあたり一定期間出てくるであろうエラーも寛容に受け止めながら、教育に関わる人の多様性こそを「日本の教育の質」といえる状態にしていくことが、目指すべき状態だと思います。