ランドセルがPCに?[代表のつぶやき]
日本中の学校にパソコン (PC) 一人一台を配備するという政策が浮上している。
私立の一部には、二十年も前から一人一台が当たり前に配備される学校もあるが、まだ少数派。教育関係者からは、歓喜の声と、忙しさの加速を危惧する声の両方が聞こえてくる。
さて、一人一台が実現すると、どんな教室が実現するのだろう。PCやタブレットなどの情報通信技術 (ICT) 機器がもたらすのは、徹底した「個別最適」。子どもたちに一斉に教えるのでなく、一人一人に個別に最も適した教育ができる。
例えば、私は文章を解釈することは得意だったが、カタカナの長い人物名を見ていると、眠くなった。それでも、小説や動画で見る世界史は好きで、根本的に歴史に関心がないわけではなかったが、暗記は嫌い。学習の仕方が合わなかった。
得意も苦手も人によって違うのは自然なこと。同じ教科書を使わなくても、個別に知識を学び、教室では、それぞれ得た知識で議論する。視点の違いを語り合えるなら、もっと知りたくなるかもしれない。そんな風景も一人一台で思い描ける。
教科書以上の知識がネット上にあるという前提に立つと、いま家庭が購入する文具や教科書、辞書などはいらなくなる。入学祝いは高級なランドセルではなく、子ども用PCが常識。そんな日も近いかもしれない。
(2019年11月28日中日新聞夕刊掲載)