学校の選択肢を多様に[代表のつぶやき]
東京都中野区に、世間の当たり前が「ない」学校がある。
例えば
①チャイム
②「前ならえ」の号令
③教員の教職免許。
④基礎学力の一斉指導
―などが「ない」のだ。
一律の管理よりも、子どもの自主性と、自分で考える機会を優先している。時間の管理はチャイムにさせるのではなく、子ども自身がする。校則は「自分を大切に・人を大切に・ものを大切に」だけ。自分の行動はそれに沿っているか、日々、対話する。基礎学習はパソコンを使い、個々のペ ースで学ぶ。同じ教室に、中学レベルの因数分解をする子もいれば、足し算と向き合う子もいる。
TCSと呼ばれるここは全日制の小学校だが、施設やカリキュラムなどが学校教育法に則っていないので、フリースクール扱いとなっている。子どもたちは公立の小学校にも在籍し、不登校扱いでTCSに通う。しかし、不登校になってから転校したのではない。個性を伸ばせる環境を求めて積極的にこの学校を選んだのだ。
十一日に東京シューレやTCSなど、都内で多様な学びの環境をつくる十一団体が集まり、連携ネットワークをつくった。 代表の久保一之さんは「いまは学校の選択肢が少ない。心が傷ついてから学びの場所を選択するのではなく、堂々と多様な学びの環境を選択できる社会にすべきではないか」と話す。
(2019年11月14日中日新聞夕刊掲載)