無自覚の偏見[代表のつぶやき]
「カランコロンみたいでかわいい名前になりました」と笑うのは、難民と未来をつくるNPOを運営する二十代の渡部清花さん。難民の就労支援などに取り組み、昨年末まで本欄の寄稿者だった。先月、コンゴの方と結婚し、渡部カンコロンゴ清花さんになった。
十歳以上離れる彼女と語る度、自分の持つアンコンシャスバイアス (無自覚の偏見)に気づかされる。難民とはどんな人たちか。「それって悪い人?」という人もいた。そうは思わないけど、そう思うくらいイメージが持てないのは分かる。
彼女が関わる人には、エンジニア・弁護士など多様な職業の人がいる。経験や専門性をいかし、就職を果たした七名の中には、日本企業にイノベーションを起こすような人材もいるそう。国を追われ、たどり着いた人が日本で生きるには、難民として政府に認められる必要がある。 現在申請中の人は一万八千人。 許可が出たのは昨年四十二人。 帰国したら命の危険がある人もいる。
「難民である前に、人として存在を理解したい。難民だから就職させてやってくださいではなくて、すてきな人を日本社会に紹介しているんです」という彼女の戦略は、政府の対応を待たずに、民間企業に難民の活躍の場を作ることだ。若い彼女のフラットさが私のバイアスメガネを一つずつ外してくれる。
(2019年10月10日中日新聞掲載)