グレタさんの国連演説[代表のつぶやき]
子どもたちが議会に参加して、大人が用意した原稿を練習した通りに読み上げる。そんなお飾りのような子どもの社会参画をよく見る。
しかし、先日の十六歳の高校生グレタ・トゥンベリさんの国連演説は違った。彼女の怒りや悲し みは、見ている大人たちの心を締めつけた。あのスピーチによって、気候変動は世界的に注目を集めた。この問題を自分のこととして考える人も増えた。私も何かできることはないかと、小さな取り組みを始めた一人だ。
同時に、グレタさんのものの言い方が感情的だ。とか、政治利用されているだとか、批判の声も聞こえる。「お飾り参画」のスピーチには、他国の大統領から批判のツイートは来ない。批判されるのは、世に主張が伝わった成果ともいえる。
そこで、ふと思った。例えば、うちの子に何か主張があり、学校に行かずに世に訴えかけたいと言ったなら、私はどうするだろう。人からどう思われるかとか、危険なのではとか、安全に準備した道の範囲を歩くように説得するかもしれない。 たとえ、その道がもっと大きな危機につながるということに、子どもが先に気づいていたとしても。
地球の裏側のグレタさんに拍手を送る自分と、人の親として子どものリスクを危ぶむ自分。自分のことに寄せると、保守的になる自分にもやもやしながら。
(2019年10月3日中日新聞夕刊掲載)