災害時の子ども支援ー中日新聞コラム「紙つぶて」より[代表のつぶやき]
私が代表を務めるNPO法人カタリバの事業の一つに、PTGという事業があります。
ポスト・トラウマティック・グロース、つまりPTSDの対の考え方で、トラウマ体験を通じた成長を意味します。教育環境に大きな影響が出る災害が起きた時、現場に駆けつけ、子どもたちの支援活動など、教育復興の取り組みを行います。
昨年七月の西日本豪雨災害。子どもたちにとって教育環境がどうなっているか。そうした情報は現地に行かないと、分かりません。すぐに岡山県倉敷市の真備町地区に行ってみると、悪い予感が的中し、現地で見た光景は、空から津波が降ってきたような状態でした。
災害は平穏な場所を一瞬にして被災地に変えます。行政の人たちは自身の生活再建と同時に、市民の緊急対応に疲弊します。どうしても乳幼児や高齢者、医療やハードの復興が優先され、学齢期の子どもたちへの支援は後回しになりがちです。
私たちは、皆さんから託された寄付を財源に、NPOという民間組織だからこそできるニーズに合った一直線の子ども支援をします。この四月から、企業や行政と事前協定を結び、災害に備える取り組みを始めました。社内で併走する貧困支援やキャリア教育のチームとともに、知見を日頃から研究し、いざという時に対応できるよう備えています。
(2019年7月18日中日新聞夕刊掲載)