【調査レポート】10代の居場所、利用中高生の約8割「初めて知ったことや、興味・関心を持ったことが増えた」

近年、不登校やいじめ、10代の自殺の増加など、子どもを取り巻く課題が深刻化しています。2023年4月に発足した「こども家庭庁」でも、子どもが安心して過ごせる「居場所」の必要性が議論され、同年12月には「こどもの居場所づくりに関する指針」が策定されました。
カタリバでは、2011年より10代の子どものためのサードプレイス「ユースセンター」を設立・運営し、2021年には「ユースセンター起業塾」を設立。全国のユースセンターを運営したい個人・団体への資金助成やノウハウ提供を通じて、全国への拡大を支援しています。
これまでの子どもの「居場所」に関する調査では、居場所があることで子どもの自己肯定感や自己有用感が高まる可能性が示唆されています。一方で、10代の居場所「ユースセンター」に焦点を当てた調査はなく、ユースセンターを利用する中高生がそこでどんな変化を感じているかは明らかにされていません。
今回、「10代の居場所(ユースセンター等)を利用する中高生へのアンケート調査」を全国19拠点、中高生202名を対象に実施しました。この記事では、その調査結果についてお伝えします。
「家族以外の大人とも話すようになった」
「さまざまな活動に参加したいと思うようになった」
本調査は、ユースセンターを運営するユースワーカーへの聞き取り調査を経て、26の質問項目を開発し、全国19箇所(ユースセンター起業塾の支援を受ける14団体とカタリバが運営する5拠点)において、202名の中高生を対象にオンラインアンケート形式で実施しました。
その結果、次の項目でポイントが高くなるという結果がみられました。
(ユースセンターを利用する)以前より
●「それまで知らなかった人、話したことがなかった人と出会った」と約9割が回答
●「家族以外の大人とも話すようになった」と約8割が回答
●「初めて知ったことや、興味・関心を持ったことが増えた」と約8割が回答
●「さまざまな活動に参加したいと思うようになった」と約7割が回答
■約9割が「それまで知らなかった人、話したことがなかった人と出会った」と回答
ユースセンターを利用する中高生の88.6%が、「以前より、それまで知らなかった人、話したことがなかった人と出会った」と回答しました。(「あてはまる」「ややあてはまる」の合計)
■約8割が「家族以外の大人とも話すようになった」と回答
ユースセンターを利用する中高生の80.1%が、「以前より、家族以外の大人とも話すようになった」と回答しました。(「あてはまる」「ややあてはまる」の合計)
■約8割が「初めて知ったことや、興味・関心を持ったことが増えた」と回答
ユースセンターを利用する中高生の76.6%が、「以前より、初めて知ったことや、興味・関心を持ったことが増えた」と回答しました。(「あてはまる」「ややあてはまる」の合計)
■約7割が「さまざまな活動に参加したいと思うようになった」と回答
ユースセンターを利用する中高生の74.6%が、「以前より、さまざまな活動に参加したいと思うようになった」と回答しました。(「あてはまる」「ややあてはまる」の合計)

*「本調査で開発した26の質問項目一覧」はこちら
4月18日、23日に「10代の居場所」の
リアルと現在地を学ぶイベントを開催
冒頭で触れたように、居場所の重要性が議論される一方で、現場では人材不足や官民連携の課題が指摘されており、持続可能な支援体制を構築することが求められています。
また、子どもの居場所のひとつになり得るとされる全国の公共施設に目を向けると、高度経済成長期に整備されたものが多く、2025年には約7割が大規模改修を必要とする老朽化に直面。地方では人口減少とともに施設の統廃合が進んでいくといわれています。
このような状況を踏まえて、「ユースセンター起業塾」は自治体と協力しながら居場所をつくる人材の確保・育成や運営などを行ったり、図書館を10代の居場所として活用する取り組みを展開したり、地域の資源を活かした新しい居場所づくりを模索してきました。
これまでの活動を通じて、“子どもの居場所”の重要性は広まりつつあるものの、「具体的にどう運営していいかわからない」「そもそもどんなことから始めていいのかわからない」という悩みを抱える自治体も多いという課題が見えてきました。
そこで今回、「図書館という公共施設の活用」と「官民連携」をテーマに、現在ユースセンター起業塾が自治体や図書館と協力・連携している事例をもとに10代の居場所のリアルと今の現在地について学ぶイベントを開催します。

ご関心のある方は、以下よりぜひ詳細をご覧ください。
【4/18(金)開催】10代の居場所 in 図書館ー公共施設を活用した持続可能な10代の居場所の実践と展望
【4/23(金)開催】10代の居場所はどうつくる? ― 官民連携で挑むユースセンターの最前線
ユースセンター起業塾では、全国の中学校区に1カ所、全国で1万カ所に10代の居場所がある状態をめざして、引き続き、10代の居場所を立ち上げたいと考える個人・団体・自治体の起業・経営支援を行っていきます。
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