【調査レポート】経済的に困難な家庭の約7割「物価上昇で夏休みのお出かけ機会が減った」
カタリバでは経済的に困難な家庭に対して学びの機会を届けるために、パソコン・Wi-Fiを無償貸与し、メタバースを活用して子どもと保護者双方への定期面談・サポートを行う「キッカケプログラム」を2020年から運営しています。
今回、「キッカケプログラム」の利用家庭、その他の家庭の合計397世帯に対し、今年の夏休みのお出かけについての調査を行いました。この記事では、その調査結果についてお伝えします。
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■このアンケートから分かること
・今年の夏休みのお出かけ予定の有無、経済的に困難な家庭とその他の家庭で差
・経済的に困難な家庭の約65%が「物価の上昇によりお出かけの機会が減った」
・経済的に困難な家庭で「旅行・観光」の予定があるのはわずか1割
・経済的に困難な家庭は約8割が、夏休みの子どもに関する不安「ある」
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今年の夏休みのお出かけ予定の有無、
経済的に困難な家庭とその他の家庭で差
物価上昇が続く中、経済的に困難な家庭では、夏休み期間に中々外出の予定をたてることが難しいという声も聞こえてきています。そこで、夏休みのお出かけや体験機会について、キッカケプログラムの利用者147世帯とその他の家庭250世帯を対象に調査を行いました。
夏休みのお出かけ予定の有無について聞いた設問では、経済的に困難な家庭は「なし」を選択した人が68.7%、一般家庭は56.4%で、約12ポイント差があり、経済的に困難な家庭の方がお出かけの予定が少ないことが分かりました。
経済的に困難な家庭の約7割が
「物価の上昇によりお出かけの機会が減った」
次に、物価上昇によるお出かけの機会の変化について聞いた設問では、経済的に困難な家庭の約65%が「減った」と回答。その他の家庭の「減った」の回答23.6%とは大きな差があり、経済的に困難な家庭の方が物価上昇の影響をより多く受けていることが分かります。
経済的に困難な家庭で
「旅行・観光」の予定があるのはわずか1割
夏休みのお出かけの内容を聞いた設問で、大きく差があったのは「旅行・観光」に行く人の割合。その他の家庭で「旅行・観光」を選択した人は3割強だったのに対し、経済的に困難な家庭ではわずか1割程度でした。経済的に困難な家庭では、旅行などに行くことが難しいことが推察されます。
夏休みの子どもに関する不安ごと、
経済的に困難な家庭は約8割が「ある」
夏休みの子どもに関する不安ごとについて聞いた設問では、経済的に困難な家庭では8割が「ある」と回答。その他の家庭で「ある」と回答したのは43.6%で、割合に大きく差がありました。
具体的には、食費・光熱費の心配や、お金がないため周囲と比較して体験にお金をかけてあげられない、という声が上がってきました。
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▼具体的な回答内容
・お金がないので旅行も行けないが、家にいてもエアコンや、昼食など出費がとても増える。まわりは旅行に行くがうちはとてもいけない。せいぜい地域のお祭りのみ。
・食べ盛りの子がいるので食費や光熱費の値上がりが怖い。
・給食がなくなると栄養のある食事を満足に取らせてあげられない。成長するチャンスなのに何の体験や経験もさせてあげられない。
・物価の高騰、光熱費の高騰も家計を直撃しており、経済的な余裕が全くなく、余暇にお金をかける事が難しく楽しい思い出作りも出来ません。
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今回の調査結果を受けてカタリバでは、今年の夏休みに民間企業と連携し、キッカケプログラムを利用する子どもたちに対して体験機会を提供するイベントを実施することになりました。旅行・観光に行ける人が少ないという結果も鑑みて、参加者の半数以上は地方在住者を保護者と共に東京に招待し、イベントに参加する機会を設ける予定です。
カタリバでは困難を抱える子どもたちに将来への希望を届け、自分の人生を歩む力を育むために必要な機会の提供や伴走支援を、今後も続けていきます。
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