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企業の越境活動レポート!博報堂DYグループ社員と高校生たちが「夏の文化祭で売る『あっつい鍋』のアイデア」を考える!?

vol.306Report

date

category #活動レポート

writer 編集部

カタリバが運営する、全国の高校生が地域・学校の枠を超えて学び合うオンラインサービス「カタリバオンライン for Teens」。全国900校以上の高校から1800名*を超える高校生が参加し、「意欲と創造性の連鎖を生み出す放課後のデザイン」をミッションにさまざまなプログラムを提供しています。
*23年8月末時点

そして、現在力を入れて取り組んでいるのが企業とのコラボレーション。
高校生にとっては、社会で活躍する大人と出会い、企業の取り組みに触れ、自分たちの日常やキャリアの可能性を広げる新たな”学びの場”となる。そして、企業目線では、将来世代の育成やサステナビリティ経営の取り組み、若者との共創、人材育成を目的とした越境活動(所属する組織の垣根を超えて、学び、成長する機会を得る活動)のニーズから、カタリバの現場を体験したいというお声をいただくことが増えています。

今回は、株式会社博報堂DYホールディングス(以下、博報堂DYグループ)の次世代リーダー育成のための「Growth Action プログラム(GAP)」の一環として、「カタリバオンライン for Teens」を体験するプログラムを実施しました。

企業の次世代リーダーたちがセクターや世代を越境し、普段はなかなか接する機会のないNPOや高校生と対話することで、視野を広げ、新たな知恵を獲得し、現状を変えていく原動力を得てもらうことを狙いとした「社員向けのワークショップ」と「高校生を交えたプログラム」。

この記事では、カタリバと博報堂DYグループで行ったワークショップの様子や、高校生との学び合いを通じて得た気づきや葛藤など、次世代リーダー6名との約1ヶ月間の歩みをお届けします。

民間企業とNPO、双方の視点が混ざり合う時間

8/2に開催したDay1「社員向けのワークショップ」では、参加者のみなさんがカタリバ高円寺オフィスに集合。アイスブレイクでの自己紹介から和やかな空気で、みなさんからの期待やワクワク感も伝わってきました。

社員向けワークショップの様子(対話セッション)

まず最初に、カタリバという組織のインプットとして、「カタリバオンライン for Teens」ディレクターの馬込・立野の2人から、以下2点をお話しました。

・カタリバの歴史とNPOの存在意義
・「カタリバオンライン for Teens」の取り組みと葛藤

馬込:「『NPO』を取り囲む環境や変化の中で直面し続ける、ソーシャルセクターの難しさを日々感じています」

立野:「『カタリバオンライン for Teens』では、大人が高校生に教えるのではなく、高校生同士で学び合う・高校生の意欲の連鎖・高校生自身がサービスの作り手になるというように、高校生中心のモデルを構想しています。持続的な事業運営を実現するための収益獲得に向けた「価値広報」、そしてより大きな社会的インパクトを生み出す溜めの「ビジネスセクター」との共創が大きなチャレンジですね」

参加者のみなさんは自分たちの業務とも紐づけながら、カタリバからのお話しを聞いている様子。普段知らない世界だからこそ、活発に質問も出てきて、前半からインタラクティブなやりとりに発展している姿が印象的でした。

そして、インプットも踏まえて「ソーシャルセクターとビジネスセクターの役割と共創」「一人ひとりのパーパス(存在意義)と組織の未来」という2つのテーマを中心に対話を行いました。

その中で、印象的だった声をご紹介します。

  • ・今まで、営利目的以外の組織と話をしたことがありませんでした。違うところもあるけど、収益やサステナビリティなど自社との共通点もあり、NPOのことを知ることで視点が広がりました
    ・これまでは経済合理性の中だけで考えていたけど、NPOでの活動を体験してみると、パーパスの捉え方も変わるのではないかと思いました
    ・会社(ビジネスセクター)が着手しないところに取り組んでいて、イノベーションを感じました。NPOと聞くと「想い」重視なのかと思っていたけど、どう広げるか、どう資金を調達するかという視点も持ち合わせていて、自分たちの活動のヒントになりました

 

参加者たちは、事前に自身の「パーパス」についても考えたうえで参加したことで、一人ひとりがそれと紐づけて考えるなど、改めて自身と向き合う機会になってるような印象を受けました。

私たち “大人” が高校生に届けられることって何?

ワークショップの後半では、「高校生向けプログラム」を設計・運営する、という企画を実施しました。まずは以下2点についてディスカッションを深めていきます。

・高校(生)や教育について感じている違和感、課題意識、願いは何か?
・個人、そしてチームとして、プログラムに参加する高校生に届けたいことは何か?

高校生向けプログラムについてディスカッションする様子

自分自身が高校生だったときのことを思い出すと同時に、社会人として働く今、感じる教育・社会に対する想いや課題意識を共有。高校生が置かれている状況にも視点を向けながら、自分自身や博報堂DYグループという存在について言葉を紡ぎ、「届けたい想い」が少しずつカタチになっていきます。

その中で、以下のような声が出てきました。

・学校では学べないけど自分たちが伝えられることは何?
・社会を知らないまま進路を決めることも多い。もっと選択肢があると伝えたい
・マーケティングに興味を持ってもらいたい。「モノが売れる仕組み」とか面白いのでは
・TIkTokでのダンス、Twitterのつぶやき。自分たちと違う感覚の中に何があるんだろう?
・私たちの仕事は泥臭い。世の中に見えていない黒子の仕事も楽しいことを伝えたい
・高校生の方が柔軟なことも多いはず。私たちが話をしても説得力ないこともあるかも
・「面白い大人」って思われたい。大人って面白いと思ってないかもしれないよね
・高校生は「広告」に対してどんなイメージをもっているんだろう?

グループワークで特に印象的だったのが、「博報堂DYグループとして」「私たちだから」「私たちって」という言葉が何度も飛び交っていたこと。90分という限られた時間だからこそ、本当に何を伝えたいのかに意識が向き、意見が磨かれていきました。

また、普段あまり関わることのない「異質な相手(=高校生)」をリアルにイメージすることで自分たちの存在を問い直し、理解が深まっていく姿も見られました。

約2時間のディスカッションを経て、「イノベーションとは違いによる突破力」「足し算ではなく掛け算」「正解ではなく別解が溢れるチーム」「チームで考えるアイデア発想」といったポイントをプログラムの中核として設定し、初日のワークショップを終了しました。

「未知」「非日常」との遭遇から見つける新たな “わたし”

そしてワークショップ実施から約1か月後の8/31に、参加者たちが実際に企画した、高校生とのオンラインプログラムを開催。事前のミーティングでは、「本当にこれで高校生に伝わるのか」「今の高校生はどんな価値観をもっているのか」「高校生の主体性を引き出すために、どれぐらいの塩梅で関わればいいんだろう」など、ワクワクと不安の声が出てきました。

当日は、全国各地から17名の高校生が参加し、プログラムがスタート。
冒頭のアイスブレイクでは、まずは博報堂DYグループのみなさんから「博報堂DYグループとは?」「博報堂の打ち合わせ|チームでのアイデア発想とは?」という2つの観点のお話がありました。
※実施プログラム概要はこちら

高校生向けオンラインプログラムの様子

博報堂DYグループの社員:「博報堂DYグループは、『様々なアプローチで課題を解決するアイデアをつくり世の中に伝えていく会社』であり、社会課題解決までを担うコミュニケーションのプロ集団。アイデアを発想するコアにあるのが、チームとの会話です。チームで発想することでアイデアが膨らむこと、その雰囲気について、今日一緒に感じてほしいです」

また、今日のポイントや打ち合わせの大事な心得についてもお話がありました。

▼今日のポイント
自由と自律を尊重し、多様な個性とチーム力で価値創造を高める

▼打ち合わせの大事な心得
①打ち合わせは、50%が雑談でできている。「全然関係ないんだけど」から始まる会話にアイデア発想の可能性が潜んでる
②「Yes,and」の精神。だれかのアイデアから色々な可能性をみんなで積極的に会話して肯定しながら可能性を広げていこう
③偉いのは凄いことを言った人ではなく、たくさんアイデアを出した人

そして、いよいよワークの時間!高校生と博報堂DYグループのみなさんで、新しいアイデアを生み出していきます。今回のお題は、「夏の文化祭で売る『あっつい鍋』のアイデア」です。

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 “鍋は冬のもの” という常識がありますが、
急に担任の先生から8月に実施する文化祭で、
「うちのクラスは鍋を売るから」と勝手に決めつけられてしまいました。
※冷たい鍋ではありません、あっつい鍋です。

クラスで目指すのはその年一番盛り上がった出店大賞をとることです!
妄想を含めたアイディアも大歓迎です。

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一見「なんで?」と思う状況設定の中で、どのようにチームとしてアイデアを磨いていけるかというチャレンジに臨みました。

個人でアイデアを出した後に、グループに分かれてみんなでアイデアを作っていきます。最初は高校生も博報堂DYグループメンバーも少し緊張感がありましたが、「Yes,and」の精神も大切にしながらアイデアが積み重なり、各グループの参加者が個性を発揮しながら会話が展開されていきます。

グループワークでのディスカッションの様子:Jamboard

その後の全体共有でも、新しい視点が重なり、「アイデアをチームで出す面白さと可能性」について多くの参加者が感じている様子でした。

その中で、高校生から出てきた振り返りコメントの一部をご紹介します。

・頭を柔らかくして考えることに加え、雑談で意見を交流すると突拍子もないアイデアが生まれることがわかりました日々の話し合いでも、雑談できるくらいの雰囲気を大切にしたいです
・自分の意見と他の人の意見が合わさったときに、新しいアイデアが生まれることを感じました
・「Yes,and」が大事!!学校でのディスカッションにも活かしていきたいです
・学校で、相手の意見を尊重してから自分の意見を言うことが大切と習っていたけど、受け止めてはいるものの、相手の意見を否定するような言い方をしてしまってるかもと感じました

最後に博報堂DYグループのみなさんとの振り返りセッションで出てきた声もご紹介します。

・高校生と言ってもいろんな子がいる。一人ひとりをしっかり見ていくことの大切さを感じました
・高校生のことがわからなすぎて、「コミュニケーションのプロ」と言いながら上手くファシリテーションできず、みんなの個性を出しきれなかったのが悔しかったです
・フラットな関係でいることの大切さと難しさを感じました。どんな立場でも意見を出せる雰囲気について、改めて考えるきっかけになりました
・「自分で自分を決めすぎない」と、普段いろんな人に言ってるけど、今日は自分自身がそれと向き合う機会になりました
・普段の仕事では、リソースやコスト、実現性に意識が向きがち。メンバーがもっとアイデアを出しやすい空気を創れてるか、潰していないかを改めて考えさせられました

充実感と安堵感が漂う中、みなさんの表情からも、この2日間で多くの気づきや刺激をもち帰ったことが強く伝わってきました。

今回の取り組みでは、「セクター」と「世代」を越境すること、「常識や日常」から離れ、視野を広げ、新たな視点を得ることで、高校生と博報堂DYグループの参加者双方にとって、社会・自社・自分の課題や想い、そして可能性を改めて捉えなおす機会になったように感じます。

私たちカタリバにとっても、ビジネスセクターとの共創によって社会により大きな価値を届けられる可能性を感じるとともに、それが高校生にとってもよりたくさんの刺激と学びの機会を提供できることにつながると確信した時間になりました。

今後も「カタリバオンライン for Teens」では、教育と企業の境界を溶かし、高校生と大人が共に学び合い、日本の未来を創っていくキッカケづくりを、さまざまな企業とチャレンジしていきたいと考えています。興味をもっていただけた企業の方は、ぜひお声がけください。


 

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編集部 編集部

KATARIBAMagazine編集部が担当した記事です。

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