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KATARIBA マガジン

被災地・熊本県益城町の子どもたちに寄り添い続けた3年間〜未来へ向かって新たな連携を始めます~

vol.045Mail Magazine

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category #メルマガ

writer 編集部

カタリバは、被災や貧困など、あらゆる環境にある子どもたちが未来をつくりだす力を育めるよう、全国8拠点で様々なサポートをしています。

今回は、その一つ、熊本県益城町の子どもたちへの支援事業のお話をお届けします。

まもなく、熊本地震から3年が経とうとしています。私たちは地震の発生した2016年5月に震源地である益城町の子どもたちに出会い、多くのみなさまからの応援を後押しに、放課後学校コラボ・スクールでの支援活動を続けてきました。

のべ1,300人の中高生が、放課後の学習会に参加し、この春もまた、高校受験を乗り越えた子どもたちを桜咲く進路へ送り出すことができました。

「3年間を振り返ると、全体から見たら小さいことかもしれないけれど、子ども一人ひとりにとっては大きな変化がたくさんありました」

熊本でのコラボ・スクール立ち上げから3年間、子どもたちを見守ってきたカタリバ職員の井下友梨花は言います。彼女は熊本地震の発生した2016年4月からコラボ・スクールの活動に参画。熊本に移住して約3年が経ちます。

 

190411_12.JPG(仮設住宅団地の学習会の様子)

 

たとえば、一言も口を利かなかった子が、スタッフとしゃべってくれるようになりました。

いつも一人で部屋の隅にいた子が、他の子たちと一緒に勉強するようになりました。

勉強が嫌いで学習会でも居心地が悪そうだった子が、パソコンを使うのが得意と気づいて、スタッフの名札をパソコンで作って印刷してくれたこともありました。

友だちに「空気が読めない」と言われて仲間外れにされていた子が、コラボ・スクールでの活動を通して人との関わりかたを学び、高校生になった今は後輩たちをまとめたり場を仕切ったりできるようになりました。

学習会で大声を出して遊んでしまっていた子たちが、自分たちで「他に勉強している子もいるから、(人のいない)畳のほうに行こうか」と配慮できるようになりました。

こうした小さな変化一つひとつが、子どもたちの未来につながっています。

 

190411_02.JPG(震災直後の益城町の様子(2016年8月撮影))
 

この3年で、町にも変化がありました。少しずつですが、自宅を再建して仮設住宅を出たという声も聞こえてくるようになりました。

こうした状況に合わせて、今月中旬、カタリバは益城町教育委員会・熊本大学教育学部とのパートナーシップ協定を結ぶことを決めました。

この結論に至るまで、私たちは三者で何度も話し合いを重ねました。変わりゆく復興の段階や局面にあわせて、子どもたちを持続的に支えていくためには何が必要なのか、考えました。

「より地域と連携し、子どもたちに密着すること」。それが私たちの結論でした。この春から運営主体を徐々に移管しながら、新たに歩み出す予定です。

 

190411_11.jpg(子どもたちの登下校風景)
 

町の復興は一歩一歩、着実に前に進んでいますが、被災によって、それまで当たり前にあった町の風景は変わってしまいました。

毎日「おかえり」と見守ってくれた近所のおじいちゃんおばあちゃんたちなど、それまで町にあった風景や人間関係がリセットされてしまいました。子どもたちにとっても、ふるさとを感じられる機会が少なくなっています。

「ここには辛い経験をしながらも、未来に向かって進もうとする子どもと、彼らを応援する大人たちがいます。子どもたちを中心に町全体が復興につながっていくような環境をつくるお手伝いができたらいいなと考えています」

 

190411_06.JPG(震災直後から子どもたちに寄り添ってきた井下(右))

 

4月以降、カタリバと益城町教育委員会の職員を兼務し、益城町や子どもたちとの関わりを続ける井下は言います。

「益城町には、ユニークな方法で復興に取り組んでいる方たちもいらっしゃいます益城町の美しい風景を生かした動画を作り発信しようとされている役場の職員の方や、地元産のお茶を活かしたカフェを営む方、こだわりの農法で野菜作りをしながら靴磨きなど別のお仕事もされている方などです。町に住む面白い大人と子どもたちが出会って、未来を一緒に考えられるような場づくりができたら良いですね」

 

190411_08.JPG(未だ多くの方々が住む仮設住宅団地(2019年4月撮影))
 

復興に向けて前進するなか、2019年の始めには、3年前を想起させるような地震が発生するなど、不安な日々は続いています。

日中は明るい表情を見せていても、未だに「夜になると眠れない」という子どもたちもいるのも事実です。そんな子どもたちにとって、安心して過ごせる「居場所」はとても大切です。

 

190411_04.JPG(仮設住宅団地の集会所での夜間の学習会の様子)
 

「私にとっては『癒しの場所であり救われた場所』でもありました。」

中学3年生から3年間、ましき夢創塾に通い、この春から高校3年生になった生徒はこう言います。

「被災した当時、受験生なのに、家庭の事情と金銭面の理由から塾に行けず、悔しい思いと焦りを感じていました。そんな中、学校から配布された「カタリバ主催の夏休みの勉強会(仮)」のプリントを見て、なんとなく行ってみたら、とても居心地がよく、気づいたら、中学を卒業するまでほぼ毎日、学習会に参加していました。」

彼は、学習会を経て、高校に無事に合格。高校生になってからは、私たちが企画した企業訪問や、東北の被災地を訪問する活動などにも積極的に参加しました。現在は、高校卒業後の進路に向けて、歩み始めています。

突然、日常を失うという経験をした子どもたちにとって、「これまで通り勉強ができる場所」や「家族から少し離れて、自分の時間を確保できる空間」、そして「チャレンジを後押ししてくれる場所」は大きな意味があります。

今後もカタリバは、地元の方々との連携をより深めながら、益城町の子どもたち、そして震災に限らず、あらゆる環境にある子どもたちが未来を思い描けるよう支援を続けていきます。引き続き、応援をよろしくお願いいたします。

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編集部 編集部

KATARIBAMagazine編集部が担当した記事です。

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