「寄付によるソーシャルベネフィットを取り入れた、若い世代に共感を生むブランドづくり」
プラチナ・ギルド・インターナショナル株式会社
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ご支援いただいている法人様のインタビュー
NPOカタリバのご支援をしていただいている法人様から、ご支援のきっかけ・内容・今後の展望などをお伺いする「ご支援法人様のインタビュー」。今回は、プラチナ・ギルド・インターナショナル株式会社 コンシューマー・コミュニケーションズ シニアマネージャーの大島様に、ご寄付の背景や取り組みへの思いについてうかがいました。
プラチナ・ギルド・インターナショナル株式会社(以下、PGI)について
プラチナ・ジュエリーの普及や、正しい知識の啓蒙を目的に設立された国際的な広報機関。商品の製造や販売といった営利活動は行わず、宝飾品としてのプラチナの価値と魅力を広く消費者に伝えていくことを使命として活動されています。

「プラチナ・ウーマン」について
不確かな時代を生きる、主に20代・30代の女性に向けて、彼女たちの心に寄り添い、エンパワーメントするため、日本のリーディングジュエリーブランドらと共にPGIが2020年11月に立ち上げたプラチナ・ジュエリーブランド。現在は4℃、ヴァンドーム青山、ギンザタナカ、ポンテヴェキオと共同し、夏と冬に新商品を発売。若い女性にも手の届きやすい価格帯で、洗練されたデザインのプラチナ・ジュエリーが揃います。ブランド立ち上げ時から、販売各社とともに、コレクション商品1点のお買い上げにつき、500円をカタリバに寄付いただくチャリティプログラムを実施していただいています。
「プラチナ・ウーマン」ブランドサイト
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ソーシャルベネフィットを取り入れたブランド戦略としての
寄付プログラム
カタリバ:
「プラチナ・ウーマン」を立ち上げられた2020年から、カタリバを寄付先としてご寄付を続けてくださっています。まずはじめに、寄付活動を行うことを検討した背景について教えてください。
PGI大島様:
PGIは、プラチナのジュエリー需要を伸ばすための広報機関として、鉱山会社より資金を預かって活動しているため、本来は寄付はできない立場にあります。ですが、「プラチナ・ウーマン」のプロジェクト立ち上げにあたり、同ブランドを通して次世代のプラチナ・ジュエリーユーザーを育成したいという思いがあり、若い世代の方々に向けた購買促進のきっかけをつくりたいと考えました。調査したところ、その世代の方々は社会貢献に対する意欲が高いというデータがあり、そこから、商品の購入と社会貢献につながりを持たせるチャリティプログラムを、ブランドを構築する1つの要素として組み込もうと決めました。
カタリバ:
寄付が最初からブランドにとって重要なものだったのですね。購買促進のきっかけとしてのチャリティプログラムという考え方について、もう少し詳しくうかがえますか。
大島様:
プラチナ・ジュエリーの価値を考えたときに、まず、プラチナという素材には、純粋な白い輝きや、これまで採られた量もゴールドの1/30という希少性に加えて、高い耐久性や変質・変色しないといった物質的な価値があります。そして、それを身につけることで気持ちが高まったり自信につながったりといった情緒的な価値もあります。そこにプラスアルファのブランド独自の価値として、ソーシャルベネフィット(社会的利益)の側面を取り入れたいと考えました。
私たちは、ジュエリーの中でも特にプラチナ・ジュエリーは”一生もの”だと考えています。長く愛していただくものだと考えたときに、社会とのつながりをジュエリーから感じていただければ、身につけたときに、より自信につながったり、誇りをもっていただけるのではないかと思います。このソーシャルベネフィットという側面における価値を、立ち上げ当初からブランドコンセプトの大切な要素だと考えていました。
決め手は、「次世代の未来につないでいく」
ブランドストーリーとカタリバのビジョンが重なったこと
カタリバ:
「プラチナ・ウーマン」は、ジュエリーと社会貢献がリンクしているブランドだということがよく理解できました。
寄付先については、どういった経緯でカタリバを選んでいただいたのでしょうか。
大島様:
「プラチナ・ウーマン」は国内のリーディングジュエリーブランドとの共同プロジェクトなので、寄付先選びはかなり慎重に進めました。もちろんパートナー企業にも納得感をもっていただきたいですし、ご購入いただく方にとっても社会とのつながりをより深めていけるような、ブランドストーリーにマッチする寄付先を探しました。
PGIは、日本の他にも、アメリカ、中国、インドでも活動する国際的な組織なので、当初はグローバルな団体も寄付先として検討したのですが、「プラチナ・ウーマン」は国内のジュエリーブランドとの協働なので、日本をメインに活動している団体が良いだろうと思っていました。そんなときに、カタリバさんのWebサイトに辿り着きました。多岐にわたる活動をされており、その活動内容を詳細に、しかもわかりやすく伝えられていることに驚きました。さらに、寄付金がどのように使われるのかが明確で、安心感がありました。「この団体なら安心して連携できそうだな」と思えたのが、一番の決め手です。
カタリバのWebサイトでは貸借対照表と活動計算書のハイライト版を公開しています
カタリバ:
そう感じていただけて嬉しいです。
ちなみに、カタリバの主な支援対象は10代の子どもたちで、まだプラチナ・ジュエリーを身につける世代ではないのかなと思いますが、どういったところで「プラチナ・ウーマン」と結びつけていただけたのでしょうか。
大島様:
元々は子どもの支援団体を探していたわけではありません。ただ、カタリバさんの「すべての10代が未来をつくりだす意欲と創造性を育める社会を」という活動のメッセージは、次世代にプラチナ・ジュエリーの良さを伝え、未来につないでいくという「プラチナ・ウーマン」のブランドコンセプトとマッチしていると思いました。
プラチナは変質・変色しないので、世代を超えて長く身につけていただけます。プラチナは物質的にはもちろん、エモーショナルな部分でも購入いただいた方に長く寄り添えるものだと思うので、カタリバさんのお考えや向き合っている課題と、「プラチナ・ウーマン」のストーリーに親和性が高いと考えています。
カタリバ:
逆に、寄付先を決めるにあたって不安だったことや迷われたことはありませんでしたか。
大島様:
いくつかの候補先も検討しましたが、やはりしっかりとした活動内容や寄付されたお金の使い道が明確なこと、またブランドストーリーとの親和性といった点を総合的に考えた結果、社内でもスムーズにカタリバさんにしようと決めることができました。
寄付活動が、お客様への購買促進だけでなく、
販売員のやりがいにもつながっている
カタリバ:
実際に寄付をしてから、良かったと感じることはありますか?
大島様:
寄付活動を通じて、店舗の販売員の方々や購入者とのつながりが深まったことが印象的ですね。ご購入者様からの寄付活動に対する「いいね」というお声はもちろん、販売員さんからの「チャリティがつながっていることでモチベーションが高まる」というお声もいただいています。
カタリバ:
販売員の方々には、寄付に対する思いの共有を普段からされているのでしょうか。
大島様:
プラチナ・ジュエリーの販売にあたっての教育やサポートの活動も行っているのですが、そのときに「プラチナ・ウーマン」のブランドコンセプトや、その中の重要な要素としてチャリティプログラムがあるということを改めてお伝えしています。私共は直接商品の販売をしてはいませんが、お客様に対してそういった付加価値を語っていただけるということは、やりがいにもつながりますし、意味があることだなと思っています。
また、これまでの寄付金額をウェブサイトで定期的に報告をしているのですが、その金額を見ることもやりがいにつながっているのではと思います。
カタリバ:
毎年、前年の同期間の寄付金額を超えていらっしゃいますよね。金額のインパクトももちろんですが、その背景には、購入者の方々をつなぐ販売員の皆様がいらして、ブランドとカタリバの活動を橋渡ししてくださっている壮大なつながりがあることに、私たちもとても感動しています。カタリバが支援している子どもたちの課題には「孤独」がありますが、こうしてたくさんの各地の販売員の方・購入者の方という「応援者がいる」ということ自体が、子どもたちを勇気づけてくれます。
大島様:
「プラチナ・ウーマン」は今年5周年なのですが、5年目の今も寄付を続けられていることはとても嬉しく思っています。寄付金額の増加は売上の増加も意味しているので、ブランドの認知が高まり、それによってカタリバさんと今年もご一緒できていることはとても喜ばしいことだと思っています。
「プラチナ・ウーマン」のジュエリー購入時にお客様にお渡ししているカードの例
変化・成長しながら支援活動を続けるカタリバと、
これからも共に前へ進んでいけたら
カタリバ:
「プラチナ・ウーマン」の立ち上げ当初から継続して寄付をいただく中で、カタリバに対する印象に変化はありましたか。
大島様:
寄付前も寄付後も、情報発信が的確だなと、いつも拝見しています。カタリバさんへの寄付を始めてからも、 熱海の土砂災害や、能登半島の地震とその後の豪雨災害などがありましたが、カタリバさんから「こういう活動をしています」という情報をメールで伝えていただいていて、素早い対応やその後の情報発信を目にする度に、我々の寄付がそういう活動に使われているんだなと実感しています。カタリバさんからのメールは、社内でも共有するようにしています。
もう1つ情報発信に関して印象的だったたのが、ある災害が起きた際、「カタリバのスタッフの無事を確認できました」というご報告があったことです。被災者の方だけではなく、活動されているスタッフの皆さんの無事を伝えるコミュニケーションも大事な情報発信だと感じました。
カタリバ:
ありがとうございます。
カタリバの活動は、子どもたちに「お弁当を渡して終わり」「参考書を渡して終わり」ではありません。「一緒に料理を作り、食卓を囲む」ことや「季節の行事を楽しんだり、悩みを聞いたり」すること、「目標と学習計画を一緒に立てて、そこに向かって勉強する」など、日々子どもたちに寄り添うスタッフがいてこその活動です。スタッフが元気であることは、子どもたちに安心できる居場所を届けるためにとても重要だと考えています。
大島様:
2022年のPGIからカタリバ代表の今村さんへのインタビューもすごく印象的でしたね。「きっかけ格差」という言葉はWebサイトで拝見していましたが、今村さんご自身がそれを感じた瞬間のお話や、その解決に対する思いを聞けたことが、改めて考えるきっかけになったので、とても良い機会だったと思っています。インタビュー記事として公開しているので、たくさんの方に読んでいただきたいですね。
カタリバ代表・今村へのインタビュー記事はこちら
2022年にPGI様よりカタリバ代表の今村へインタビューをしていただきました
カタリバ:
今後、カタリバに期待することがあれば教えてください。
大島様:
これまでも、震災が起こるといち早く対応をされている様子を拝見していましたし、素晴らしいコミュニケーション、情報発信をされていると思うので、今後もそれを続けていただきたいというのが一番です。カタリバさんから届く情報で、課題に対して真摯に取り組まれていることが伝わりますし、それを寄付する側の我々にも届けていただくという一連の流れを止めずに続けていただくことを期待しています。
一方で、伝統のように長く続いていくものって、時代や状況に応じた変化が必要だと思うんですよね。カタリバさんは2001年創設ですから、もうすぐ四半世紀になりますが、さまざまな成長や革新がカタリバさんの中で起こっているんだろうなと想像しています。我々としては、そんなカタリバさんとこれからも一緒に前に進めたらいいなと思っています。
カタリバ:
ありがとうございます。
コロナによる一斉休校や、物価上昇、不登校とされる小中学生の数が11年連続増加、毎年どこかで起きる自然災害など、子どもたちを取り巻く環境は次々と課題が起き、変化が続いています。子どもたち一人ひとり、家庭一つ一つ、地域それぞれで、状況は異なるので、現場で最善最適解を常に考え対応しています。
こうした中でも、「かつて支援した子どもが成長し、大人になって、カタリバで支援活動に参加してくれる」ような場面に遭遇すると、私たちの活動は子どもたちを通じて「未来をつくる」活動だなと感じます。PGIの皆様にも、この良い循環を一緒に作ってくださっている一員だと、私たちは思っております。
大島様:
それこそ、続けていることによる良い変化の1つですね。我々も、まずはこの「プラチナ・ウーマン」を通した寄付活動を長く続けて、将来的にはさまざまな協働のかたちを模索しながら長くご一緒できたらいいなと思いますね。
カタリバ:
素敵なお話をありがとうございます。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
大島様:
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
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