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KATARIBA マガジン

「子どもの支援には時間がかかるからこそ」
自転車乗り有志一同様

vol.343Interview

date

category #インタビュー #支援法人

writer 編集部

ご支援いただいている法人様のインタビュー

NPOカタリバのご支援をしていただいている法人様から、ご支援のきっかけ・内容・今後の展望などをお伺いする「ご支援法人様のインタビュー」。
2022年からご支援を継続してくださっている有志グループ「自転車操業活動」のリーダーぢゃいあん佐々木さま(以下、ぢゃんさま)のインタビュー記事をお届けします。

カタリバ:
はじめに、有志グループ「自転車操業活動」さまのご紹介とカタリバへのご寄付の経緯についてお聞かせください。

ぢゃんさま:
私たちの団体は、2011年から自転車関係の部品をフリーマーケットや自転車関連のイベントなどで販売して、売上を寄付する活動を有志で続けています。

この活動に参加しているメンバーは、フリーマーケットでの出店を手伝ってくれたり、使わなくなった部品を送ってくれたり、スポットで手伝ってくれている人も含めると30〜40人くらいになります。
自転車が好きな人たちの善意のつながりで成り立っている活動です。

支援をはじめたきっかけは、東日本大震災でした。
こんなことが起こるのかという衝撃で…とにかく何かしなければとの思いで、所属していた会社を通じて支援や寄付を行っていましたが、自分の趣味である自転車の分野でも何かできないかと考えはじめ、2011年4月に多摩川で開催されたフリーマーケットで自転車の部品を販売し、売り上げの全額を義援金として被災地に届けました。

その後、今日まで活動を続けているのですが、当初義援金を届けていた団体は2020年に活動を終了されまして、 他の支援先を探す中でカタリバさんの活動を知り、ぜひ応援したいと思い、2022年からカタリバさんへの寄付を続けています。

自転車部品のフリーマーケットの様子自転車部品のフリーマーケットの様子
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自転車の部品。一つ一つ丁寧に磨き上げる。自転車の部品。一つ一つ丁寧に磨き上げる。
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安心してお金を託せるという信頼感が寄付の決め手

カタリバ:
10年以上の長きにわたって活動をされていらっしゃるのですね。数ある団体の中でカタリバに寄付を決めてくださった理由をお聞かせください。

ぢゃんさま:
一番大きい理由は、この団体なら安心してお金を託せるという信頼感を持てたことです。

仲間から預かったパーツや用品を販売して集めた大切なお金ですので、新たな寄付先を探すために2年近くの時間をかけ、さまざまな団体のホームページの活動報告を調べてまわりました。

その中で、カタリバさんが子どもたちに向けて熱心に教育活動を行っている姿や定期的に更新している活動報告を拝見し、この団体なら託したお金をちゃんと子どもたちのために使っていただけそうだと思えたことが、支援の決め手になりました。

東日本大震災、発災直後の岩手県上閉伊郡大槌町東日本大震災、発災直後の岩手県上閉伊郡大槌町

東日本大震災、発災後の仮設住宅での生活を余儀なくされる子どもたちの様子東日本大震災、発災後の仮設住宅での生活を余儀なくされる子どもたちの様子

最低10年。長く続けることに、価値がある

カタリバ:
そのようにおっしゃっていただけますと大変ありがたいです。
2年以上、カタリバに支援を続けられている理由についてもお聞かせください。

ぢゃんさま:
子どもの支援は、できるだけ長く続けることに価値があると考えています。

例えば震災で親を亡くした子どもが10歳だったとして、そこから自立するまでは最低10年は必要だよな、と考えたりして。
また、私は50年近く自転車に関わり続けていますが、最近になってようやくわかってきたことがあります。

「本当に大切なことや大事なものはすぐには身につかず、時間がかかる」ということです。
「一歩進んで二歩下がる」といったことも多いです。

子ども支援の文脈でも、共通する点はたくさんあると思うんです。
カタリバさんは子どもたちのよき相談相手として、長い目で、心ある支援をしていると感じておりまして、その点でも応援できてよかったなと実感しています。

カタリバ:
ありがとうございます。
私たちも長期的な目線で子どもたちに寄り添うことの重要性をとても感じます。

カタリバが2011年に立ち上げた東北での活動は10年以上たった今でも続けているのですが、そこでは東日本大震災を中学生で経験した生徒が社会人になり、カタリバの職員になって勉強を教えたり、進路や友人関係といった中高生世代特有の悩みに寄り添ったりと、子どもたちを支える立場になったという事例もあります。

大きい困難を乗り越えたからこそ
強い意志が生まれることもある

ぢゃんさま:
素晴らしいことですね。

私たちが義援金を東北に送りはじめたのは、震災で困難に直面している子どもたちを見過ごすことが忍びないという思いからでした。子どもたちのために少しでも役立てたらと。

ただカタリバさんへの寄付を続けて活動を見守っていく中で、大きい困難を乗り越えたからこそ強い意志が生まれることもあるんだなと、人間や子どもたちの底力のようなものを感じます。

もちろん東日本大震災のような困難がないに越したことはないですが、困難に直面しても支えてくれる人がいて、懸命に毎日を生きれば、時間がかかっても必ず乗り越えられるし、今度は誰かの困難を支える立場になれる。そう実感します。

結局は人と人の繋がりが重要なんだと思うんです。人からお金だけを渡されてもあんまり記憶に残らないかもしれないけれど、誰かに助けてもらったり、託された想いっていうのは、支援を受け終わった後も心に残り続けると思うんですよね。

カタリバ:
とても共感します。
自転車乗りのみなさまとは、役割は異なりますが、同じ方向を向いて子どもたちを応援しているんだという実感があります。

私たちは実際に現場で子どもたちと関わっていますが、私たちの活動は自転車乗りのみなさまをはじめとする、たくさんの方のご寄付で実現できております。
改めて御礼申し上げます。

ぢゃんさま:
とんでもないです。
日々子どもたちに向き合うことは、私たちにできることではありませんので。
スペシャリストであるカタリバさんを信頼して想いを託しています。いつもありがとうございます。

カタリバの拠点がある大槌町の発災直後(左)と、発災から約10年経過後(右)の比較カタリバの拠点がある大槌町の発災直後(左)と、発災から約10年経過後(右)の比較

無理のない範囲だから長く続けられる

カタリバ:
長くご寄付を続ける秘訣や、長く続けるからこそ見えてきたことなどお聞かせください。

ぢゃんさま:
個人で毎年何万円という寄付を継続するのはなかなか難しいですが、自転車を愛好する仲間から部品や用品を託されて販売する活動は、無理がないし、環境にもよいです。
寄付をする前から、まだ使える自転車部品が無駄になるのは嫌だな、という思いもありました。

また、有志の中での顔見知りも増えてきていて、フリーマーケットのたびに集まるので、「同窓会みたい」とよく話します。寄付と自転車を起点に人が集まり、新しいつながりが生まれています。
このコミュニティ自体も非常によい動きだなと思っています。

自分のことを想ってくれた人がいるっていうことは、
いつか心のお守りにもなるかもしれない

カタリバ:
素敵なコミュニティですね。
私たちは、自分たちが運営する拠点が子どもたちにとって安心して過ごせる「居場所」であることにとても重きを置いています。
フリーマーケットの場は、自転車乗りさんのみなさまにとっても、大切な「居場所」なんだと感じました。

ぢゃんさま:
おっしゃる通りですね。そしてこういった居場所はとても大切に感じます。

私の自宅は学校が近隣にあって、「空気入れ貸してください」と、生徒が立ち寄ることがあるのですが、その中に自転車がボロボロで、ブレーキレバーがとれかけている自転車に乗ってきた生徒がいました。どうしたのかを聞くと、壁にぶつかって割れちゃいましたって。
危ないよって伝えても、気合いで乗るから大丈夫って言うんです。

でもやっぱり危ないから部品交換するぞ…と仲間から預かった部品を使って修理して、最後はお茶を飲みながら会話したりして。ここでも部品が子どもたちの為になりますからね。
そういう何気ないつながりがとても大切だと思うんです。

今まで所属していたコミュニティでうまくいかなくても、どこかで自分を受けとめてくれる場所がある。カタリバが言う、先生や親、友だちとのちょうど間くらい「ナナメの関係」のね。他人だけど、いろいろ話せる場所。そこで出会った人が、一生の友人になるか、1回だけの出会いでおわりになるか、それはわからない。それでも、自分のことを想ってくれた人がいたという事実は、いつか心のお守りにもなるかもしれない。

カタリバ:
とても共感します。

困難な状況にある子どもたちにとっては、自分のことを応援してくれている存在がいることがすごく励みになることも多いです。

支援者さんからのメッセージを、自分のお財布に入れてお守りのように持ち歩いてたり、勉強机に貼って眺めていたりしているっていう声を子どもたちから聞くこともあります。

私たちも、自転車乗りのみなさまのような、あたたかな想いを、世代を超えて繋げていけるよう、これからも尽力してまいります。
本日はありがとうございました。

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編集部 編集部

KATARIBAMagazine編集部が担当した記事です。

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