「カタリバとの協働がウェルビーイング向上と社員の成長につながっている」
株式会社ウィルグループ
ご支援いただいている法人様のインタビュー
NPOカタリバのご支援をしていただいている法人様から、ご支援のきっかけ・内容・今後の展望などをお伺いする「ご支援法人様のインタビュー」。 株式会社ウィルグループの、土肥様(写真中央)、吉野様(右)、高橋様(左)にお話を伺いました。
株式会社ウィルグループ(以下、ウィルグループ)について
ウィルグループは「個と組織をポジティブに変革するチェンジエージェント・グループ」をミッションに掲げ、「働く」「遊ぶ」「学ぶ」「暮らす」の事業領域において、期待価値の高いブランディングカンパニーを創出し、国内および世界約10カ国に展開。東証プライム市場に上場、社員数も7,000人を超えるグローバルカンパニーグループ。
WILLハート会について
東日本大震災をきっかけに発足し、子どもたちのために寄付や支援活動を企画・運営する、ウィルグループの有志社員で構成される団体。子どもたちが自分の未来にワクワクできるような機会を創出するための課外活動や教育支援など、様々な取り組みを行っている。
きっかけは東日本大震災。
「自分たちも何かしたい」と社員が声をあげた
カタリバ:
はじめに、ウィルグループさんが、ご寄付をはじめられた経緯について教えてください。
ウィルグループ:
東日本大震災の支援を目的に、2011年より社内でマッチングギフト制度を採用したのがスタートです。
※マッチングギフト制度:個人の寄付額に対して、企業が一定の比率の上乗せを行い、その総額を寄付する制度。ウィルグループでは「寄付金と同額」を上乗せしています。
具体的な方法については、マッチングを希望した社員の給与から差し引く形で行っており、2023年3月期には、1,791口(くち)、375万6,456円のご寄付となっております。
東日本大震災、発災時の東北地方
カタリバ:
これだけ多くのお申し出があることに、驚きました。
想いのこもったご寄付を頂戴しておりますこと、改めて御礼申し上げます。
マッチングギフトを開始されるまでの経緯についても、お伺いできますでしょうか。
ウィルグループ:
東日本大震災の発災当時、会長が被災地支援として1,000万円の寄付を行ったのですが、リーマンショックからの回復を目指す会社において、この金額は当時の利益の数十パーセントにも及ぶものでした。
会長の判断で寄付を決定・実行したため、後に批判を受ける覚悟で全社員あてに寄付をしたことを知らせる内容のメールを送信するのですが、社員から寄せられた声は賞賛ばかりでした。
その後「自分たちも、何かできることをしたい!」と社員が声をあげたことにより、WILLハート会が組成されます。
カタリバ:
お話をお聞きして、とても胸が熱くなりました。
10年以上前からウィルグループのみなさまが高い社会貢献意欲をお持ちだったのですね。
寄付する・される関係を超えた
「シナジーが生まれる」ことを期待して
カタリバ:
2013年よりカタリバに継続的にご寄付をくださり、ありがとうございます。
ではここであらためて、カタリバを知った経緯と、ご寄付を決めてくださった理由についてお伺いさせてください。
ウィルグループ:
カタリバさんは、インターネット検索で見つけました。
2001年から学生の支援を行っていて、かつ東北の被災地でも実際に活動拠点を持ち、子どもたちの居場所をつくる活動をしている点に共感しました。
復興支援では衣食住の支援が最優先になりますが、弊社も支援を続ける中において、2013年時点ではある程度この分野の支援は充実してきたという実感がありました。
そんな中で、子どもたちが安心して勉強ができる環境や居場所を運営する活動は、支援が充実していない分野だったと感じており、今後の日本の未来を創っていく子どもたちへの支援は必須だろうと考え、そういった支援を行っていたカタリバさんへの寄付を決定しました。
また、私たちが大切にしているメッセージのひとつに「世の中にポジティブな変化を。」というものがあるのですが、カタリバさんの団体理念や活動を拝見した際に重なる点も多く、良いシナジーが生まれるだろうという期待もありました。
カタリバ:
カタリバは「どんな環境に生まれ育っても、未来をつくりだす力を育める社会」の実現を目指し、日々活動しているのですが、仰る通りウィルグループさんとカタリバでは理念ベースで重なる点が多いように思います。
10年以上にわたってご寄付を継続していただいている理由についてもお伺いさせてください。
ウィルグループ:
東日本大震災を契機にスタートした寄付ですが、自分たちが生み出してきた収益や資産の一部が、世の中や社会のために使われていることに対してポジティブな想いがあり、この想いを一過性のものにはしたくないという声が大多数だったため、支援活動を継続することに決めました。
カタリバ東北拠点にて、活動報告会を実施
カタリバの現場へ参画することが、
社員の成長につながっている
カタリバ:
ウィルグループさんは、金銭の支援にとどまらず、社員さんをカタリバの現場に派遣してくださったり、災害時には被災地付近の事務所や車両を貸与してくださったりしています。
ここまで包括的な支援をしてくださっている理由についてお伺いさせてください。
カタリバ東北拠点にて、WILLハート会のメンバーがワークショップを実施
ウィルグループ:
きっかけについては、東日本大震災が起こった際に実際に被災地に出向き、現場を目の当たりにしたことが大きいです。
自分たちでも活動をすることで、少しでも復興の力になりたいという想いが社内から多く出たことによって、金銭の支援のみに留まらずできる限りの支援をするようになりました。
カタリバ:
2013年から協働がスタートして以降、多岐にわたる支援活動を行っていただいております。
活動の一例として、被災地の子どもたちに向けて、自分の失敗談やそこから得た経験を話す課外授業や、子どもたちと合同夏合宿、マイプロジェクト(身の回りの課題や関心をテーマにプロジェクトを立ち上げ、実行することを通して学ぶ、 カタリバが提供する探究型学習プログラム)の支援をしてくださったり、コロナ禍で生徒との対面が難しくなった際には、オンライン英会話のワークショップを企画・運営してくださったりと、対話や学びの機会を数多く提供していただいております。
カタリバ東北拠点にて、WILLハート会のメンバーがワークショップを実施
このような活動に参加される社員さんの中には、役職を持たれている方だったり、大きなプロジェクトを中心メンバーとして担当されているというような、いわゆるエース人材と呼ばれる方が何名も参加されております。
現場によっては最長で数ヶ月単位ほど支援にかかりっきりということもありましたが、事業運営において懸念などはなかったのでしょうか。
ウィルグループ:
会社としては手を挙げた社員に対して「是非とも行って来て下さい」という方針を取っています。
正直なところ、最大数ヶ月に渡って社員が支援にあたることは、短期目線で見ると社内的な負荷が増えるケースが想定されます。
ただ、現地に行って普段の業務には関わらない人との協働を通じて、様々な学びや気付きを持つことで、それが結果的に普段の業務に活きてくることも多く、中長期的な目線でみると、経営側としてもメリットが大きいと考えています。
カタリバ東北拠点にて、ワークショップを実施するWILLハート会のみなさま
カタリバ:
カタリバの現場を最前線で担っていただくことが、人材育成の機会につながっているのですね。
また、御社の社員さんの多くがカタリバの現場でも大活躍されていることは存じていたのですが、その背景には長期視点での経営判断がおありだったのですね。
カタリバとの協働に際して、支援を希望する社員さんだったり、同じ部署で働いている送り出す側の社員さんはどのようにお感じになられておりますでしょうか。
ウィルグループ:
カタリバさんとの活動に参加をすることは、好意的に受け止めてくれています。
例をあげますと、支援活動への参加を迷っているメンバーが上長に相談した際には「絶対成長できるから行っておいで!」と積極的に参加を促すような風土があったり、過去に支援活動に参加したスタッフがとても貴重な経験をしたからと、同じ部署のスタッフや若手社員に参加を促すといった「バトンをつなぐ」ようなコミュニケーションがあったりします。
また、被災地支援を希望したある社員は、全社の新人賞にノミネートされるなど、こういった活動に参加希望をするスタッフについては、普段の業務でも活躍する傾向にあります。
カタリバ:
2013年から協働がスタートして以降、多岐にわたる支援活動を行っていただいている中で、印象に残っている経験はございますでしょうか。
ウィルグループ吉野さま:
私は、災害支援が一番印象深いです。
カタリバさんとは、災害発生時に迅速な教育支援活動を展開するための取り組みである「災害時子ども支援 sonaeru」(以下、sonaeru)のアライアンスを、事業発足当時から交わしています。
sonaeruは2019年の長野豪雨で立ち上がったのですが、当時はまったく体制なども整っていなかったため、子どもたちの居場所となる拠点を探すために、カタリバの代表の今村さんをはじめとしたスタッフの方々と一緒になって、雨の中長靴をはいて泥だらけになりながらお寺などを回ったことをよく覚えています。
その後、徐々に体制を整え、事業としてもブラッシュアップを重ね、2024年1月に発生した能登半島地震の際には、カタリバは2月末までに8か所で子どもの居場所拠点を立ち上げました。このうち七尾市の拠点については、ウィルグループのメンバーが中心となって拠点運営を行うところまで支援体制を拡充されられたことは、とても誇らしいです。
能登半島地震、発災直後の市街地
学校の図書室を借りて、被災地に子どもの居場所をつくる
カタリバ:
sonaeruが事業を開始した際に、民間パートナーとして最初にアライアンスを締結したのもウィルグループさんでしたよね。
もう4年以上にわたって協働させていただいておりますこと、御礼申し上げます。
ウィルグループ様とのアライアンスに関するプレスリリース記事はこちら
sonaeru事業の包括協定締結式
ウィルグループ高橋さま:
私はコロナ禍での支援が印象に残っています。
もともと宮城県女川町の拠点に行き、生徒支援の一環として課外授業などのプログラムを行っていたのですが、コロナになってしまい、対面での支援が難しくなってしまいました。
リアルで会うことが難しいならばと、オンライン英会話のプログラムを企画・運営させていただいたりして、コロナ禍でも生徒がワクワクを見つけられるような活動を行ってきました。
オンライン・オフラインを問わずに、本音の対話を通じて生徒たちが一歩ずつ成長してゆく姿には心を打たれました。
オンライン英会話のプログラム実施
カタリバ:
コロナ禍でも子どもたちの学びを止めないために、様々な企画のご起案と運営をしていただきました。ウィルグループのみなさまの強い熱意と姿勢がとても印象に残っております。
改めて御礼申し上げます。
社内のコミュニケーションが活性化され、
社員のウェルビーイング向上につながっている
カタリバ:
カタリバとの協働を通じて社内に起きたポジティブな要素などあれば教えてください。
ウィルグループ:
インナーコミュニケーションの文脈でポジティブな成果が出ています。
カタリバさんとの協働においては、普段の業務ではやり取りしない社員同士が集まることも多いのですが、活動を通じて仲間意識が芽生え、日常の業務に戻った際にもここで培ったつながりをもとに、事業部の垣根を超えて気軽に仕事の相談やコミュニケーションが生まれています。
また、支援活動には弊社の役員も参加しており、一般社員にとっては普段の業務ではできないような対話の場があることも、良い機会になっております。
カタリバ東北拠点にて、ワークショップを実施するWILLハート会のみなさま
カタリバ:
こういったコミュニケーションについては、社内でも重要視している項目だったりするのでしょうか。
ウィルグループ:
はい。
弊社では、かねてよりウェルビーイングに重きを置いているのですが、この部分に大いに関係します。
ウェルビーイングに影響する要因として「職場の幸せ力」が最重要だと分析結果が出たのですが、カタリバさんとの協働はこの指標をあげることに関係していると思います。
「職場の幸せ力」を要素分解すると、「安心安全な風土」や「信頼関係のある職場の雰囲気」、「チャレンジを推奨する雰囲気」、「職場おすすめ度」の4つの要素からなるのですが、これらはカタリバさんとの協働の中で得られることが多いです。
カタリバ:
ウェルビーイングの文脈でお役に立てていたとは…新しい発見でした。
また、カタリバのスタッフに対しても、常々ウェルビーイングへのご配慮をしていただいていますよね。
特に災害支援等の業務負荷が高い現場においては、ウィルグループさんがいてくださることの心強さについて、現場のスタッフからよく聞いております。
最後に、今後のカタリバに期待すること、一緒に取り組んでいきたいこと等ございましたら教えてください。
ウィルグループ:
何よりも、子どもたちが自分の未来にワクワクできるような機会を提供できることが、活動を通じて最も喜ばしいことです。
この点について、カタリバさんの理念とも通じる部分が多いですし、そのためにはどういった支援が必要であるか等、今後ともカタリバさんと対話を重ねながら理想の状態に近づいていきたいと考えています。
カタリバ:
そのようにおっしゃっていただき、大変ありがたいです。
カタリバとしても今後ともウィルグループさんとのお取組みを通じて、日本国内に暮らす10代の子どもを中心に意欲と創造性を育む活動を展開していけますと幸いでございます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
カタリバへのご支援について、法人・団体さま向けにより詳細な方法や事例を資料にてご紹介しています。