課題先進地から未来の教育の当たり前をつくる
雲南市教育魅力化プロジェクト
Concept
*島根県雲南市で行ってきた教育魅力化の取り組みを、2022年4月1日に現地新法人「非営利型一般社団法人ine」に引き継ぎました(詳細はこちら)
日本の25年先の高齢化社会を迎えていると言われている課題先進地域、島根県雲南市。子ども・若者・大人のチャレンジが連鎖する、持続可能な課題“解決”先進地を本気で目指すこのまちだからこそできる、オリジナルで質の高い教育と課題解決型人材の育成を実現したい。課題先進地から、教育の未来の当たり前をつくっていきたい。そんなコンセプトで、市内2つの高校の魅力化に取り組む高校支援コーディネーターチームを配置しています。行政と連携した仕組みや制度づくり、また学校と協働し魅力的な教育現場づくりを推進する存在として、高校のカリキュラム設計やプロジェクト型学習の授業開発と実施に取り組んでいます。
Serviceサービス
活動概要
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クライアント
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所在地
〒699-1342 島根県雲南市木次町平田506番地
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TEL
0854-48-0007
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活動期間
2017年4月〜(2015年〜2016年は学校外の)
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活動場所
島根県立三刀屋高校、島根県立大東高校
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活動内容
探究授業のサポート(授業設計支援、教材作成等)/外部人材のコーディネート/プログラムの実施
活動の背景
チャレンジの連鎖で課題“解決”先進地を本気で目指すまち
島根県雲南市は人口約4万人、高齢化が深刻な課題先進地と呼ばれる中山間地域のまちです。人口の社会増への挑戦として、子育て世代の流出抑止やUIターンの増加だけでなく、根本的な課題を解決するために、課題解決型人材にあふれた持続可能な魅力あるまちを実現しようと、子ども×若者×大人のチャレンジが連鎖するまちづくりに本気で取り組んでいます。
課題先進地で実現した最先端の未来の教育は、きっと日本中に広がるモデルになる
そんな雲南市でカタリバは、「子どもチャレンジ」の推進のため、2015年4月から拠点を置いて活動を開始。社会教育プログラムの推進や、中学・高校への出張授業などを行い、多様な教育機会を届けてきました。2017年より「高校の中に生き方や進路の多様性に触れられる機会や挑戦機会にあふれた仕組みをつくる」ことを重点領域として設定。高校・行政と連携しながら、教育魅力化のグランドデザインの設計に取り組んできました。
現在は市内の県立高校2校で、高校支援コーディネーターチームが活動し、カリキュラム設計やルーブリックの作成、探究授業の企画・実施や、放課後の生徒と地域の大人とのプロジェクトの伴走、地域の方々の教育機会参画のコーディネート等を行っています。
人口減少社会を迎える日本の地方で、地域の限られたリソースを最大限活用し、まちの教育を市民全員で支えていく様な「教育環境づくり」を課題先進地からつくっていきたいと思っています。
課題先進地から「課題解決先進地」になり、そこで実現した最先端の教育は、きっと日本中に広がるモデルになる。
そんな未来を目指して活動しています。
活動内容
教育魅力化のグランドデザイン設計
教育魅力化に取り組んでいくにあたり、まず全ての指針となる「育てたい生徒像」を、先生方の想いが乗ったものにしようと、コーディネーターと全教員で育てたい生徒像について対話し、それを踏まえた教科ごとのカリキュラムについて熟議する場の設計とファシリテーションを実施。また熟議の内容を踏まえたルーブリック・評価の作成も行うことで、カリキュラムマネジメントの推進をサポートしました。
また、学校の中でのコーディネートだけではなく、まちのこれからの未来を踏まえた上での「雲南市の高校のあり方」を県教委、市教委、市の政策推進課、高校の管理職、高校の教員、外部有識者と一緒に同じビジョンに向かっていける様な会議体の設計、会議体のファシリテート、政策に落とし込んでいくための事務局の推進なども行っています。
高校支援コーディネーターの役割
総合学科の三刀屋高校では、教員とコーディネーターが1つの協働チームを組んで探究授業を推進しています。「キャリア教育企画チーム」がカリキュラムマネジメントや探究授業の企画設計、進捗確認等を行い、学年団の先生方が「探究学習推進チーム」として授業実施や生徒への伴走を行います。コーディネーターはキャリア教育企画チームの一員として、カリキュラムや授業の企画、教員研修、地域人材のコーディネートなど幅広く活動しています。
普通科の大東高校では、「総合的な学習の時間」を使った探究授業の推進を行っています。コーディネーターが企画・開発したプログラムを使って、行政や地域の方々を授業に巻き込み、まちをフィールドに生徒たちが探究的な学びを深められる授業のコーディネートを行っています。
また両校とも、探究授業の充実だけでなく、放課後の時間や、土曜日・日曜日の時間を使って、コーディネーターは学校外の活動機会をつくり、学校教育と社会教育の接続の役割も担っています。例えば地元の魅力を高校生が伝えるフリーペーパー「ジモティーン」の創刊や、演劇を通じて地域を盛り上げることを目指した「老人ホームに笑いと元気を届ける」高校生主体のマイプロジェクトなど。学校のキャリア教育活動や探究授業をキッカケに「もっと挑戦したい」という意欲に火がついた生徒たちの伴走も行っています。
起きはじめた変化
連携
行政との連携
行政と連携し、課題解決・価値創造型人材の育成を軸にした地方創生プロジェクトに参画しています。
持続可能な地域づくりに向けて、教育の分野から様々な取り組みを提案したり、行政や市内で活動するNPOなどと連携した事業を展開しています。
また、まちの教育行政にも深く踏み込み、中長期の方針策定を行政と連携して策定しています。行政・学校・地域・コーディネーターなど市内の様々な主体を巻き込み、雲南市としてのひとづくりの方針と戦略をつくり、実際の教育施策への落とし込み・働きかけを行うことを目指しています。