被災した子どもたちをすぐにサポートするために
災害時子ども支援「sonaeru」
Concept
災害によって被災者となった子どもたちは、日常を突然奪われ、心身ともに疲弊してしまいます。また復興が進んでも、心のケアは長期的に必要であり、災害後すぐに子どもたちのサポートを行うことが重要です。自治体・企業と事前にアライアンスを組んでおくことで、セクターを越えたスムーズな連携、迅速な子どもたちの支援ができる仕組みをつくり、災害時の子ども支援に備えていきます。
Serviceサービス
活動概要
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所在地
東京都中野区中野5丁目15番2号(事務局)
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TEL
03-5942-9646
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活動期間
2019年〜
活動内容
災害時子ども支援「sonaeru」は、日本国内の災害発生時に質の高い教育支援を一刻も早く届けるため、平時から自治体・企業・NPO等の間で災害時の連携内容についてアライアンスを組んでおくことで、迅速な支援活動を行います。
全体のスキームイメージ
1.アライアンスパートナーの募集
行政パートナーと民間パートナーの募集活動を行い、支援対象を拡大していきます。行政パートナーとは、災害発生時の会議体の設置/情報共有の協力/子どもの活動場所の確保協力などについて合意をいただきアライアンスを締結。民間パートナーとは事前のご寄付/災害発生時のご寄付の確約/その他独自リソースの提供などについて協議のうえ、アライアンスを締結していきます。
パートナーとのアライアンス内容
2.平時からアライアンスパートナーとの連携を強化
アライアンスの締結後は災害時の具体的対応について、行政パートナーと民間パートナーそれぞれと平時から連携・協議を重ね、いざという時にスムーズに支援を行うための備えを実施していきます。
3.災害発生時の教育支援活動
災害が発生した時にはすぐに調査を行い、状況に応じた支援体制を構築。民間パートナーの支援リソースを、現地のニーズに合わせて組み合わせて、すぐに教育支援活動に取り組みます。
民間パートナー
*掲載は順不同
*随時更新(2023年7月時点)
行政パートナー
*掲載は順不同
*随時更新(2023年7月時点)
設立の背景
●災害時子ども支援「sonaeru」構想の背景
カタリバはこれまで東日本大震災・熊本地震・西日本豪雨災害において、現地のニーズや状況に応じて期間や支援内容を設計し、主に中高生の心のケアと居場所づくりや教育行政・高校支援に取り組んできました。これまでの経験から、被災状況は異なっても、子どもたちに起こる課題・子どもたちを支える行政や民間の間で起こる課題には共通性があることを感じてきました。
共通性があって事前予測がたてられるということは、平時からその課題への対応方法を決めておくことで、いざという時に迅速に子どもたちの支援ができるのではないか?このような想いから災害時子ども支援「sonaeru」の構想がスタートしました。
●災害時の思春期世代への支援の必要性
平時でも心が不安定な思春期の中高生。被災経験や災害後の環境によって、様々な課題を抱えます。災害発生後、すぐにでも支援をスタートすることが重要です。
課題1.子どもの孤立化
避難場所は体育館・知人や親戚の家などで、落ち着いて過ごせる環境ではなくなります。また家族は家や町の復旧作業で忙しく、避難先がわかれることで友だちと遊んだり、悩みを打ち明け合える相手がいない状況に置かれます。自分の気持ちを気をつかわずに吐露できる存在や安心して過ごせる場所が必要です。
課題2.学校へのアクセス遮断・学習環境の欠如
避難場所が分散し、場合によっては居住地から離れた場所で避難生活を送ることもあり、学校や学習塾への通学が困難な状況が発生します。狭い仮設住宅や親戚の家では、落ち着いて学習できる環境がなく、避難生活が長引くほどに学習の遅れが懸念されます。通学バスなど学習環境へのアクセス方法の整備や奨学金支援、避難所や公民館や学習塾などを開放し、学習環境を整えることが必要です。
課題3.精神面の不安定さ
家族や教員に迷惑をかけまいと我慢や無理を続け、自分のことは後回しになり、本人も知らずしらずのうちにストレスを抱え込むことも少なくありません。どうせ何をやっても無駄だと無気力になったり、被災していない苦しみ、話せない重い被災体験など、様々な感情がだんだん表出化します。東北や熊本の被災地でも子どもたちの心の不安定さが時間がたってから顕在化しています。繊細で多感な思春期世代の災害後の心のケアがすぐにでも必要です。
●迅速に教育支援活動に取り組めない構造的問題の解消
上記のように、被災した中高生に対して「居場所づくり・学習環境整備・心のケア」の支援を行うことが非常に重要ですが、すぐに実行ができない構造的な課題が存在しています。
課題1.行政の広範囲かつ多様な災害対応業務による多忙さ
課題2.関係各所と発生する膨大なコミュニケーションコスト
行政は、子どもの安否・所在確認、学校再開(仮設校舎建設、校舎移転等)、学校へのアクセス確保(スクールバス検討等)、学校再開日程の検討、保護者への説明、教職員への指導など、公教育の再建業務だけでも膨大な量の業務が発生し、手一杯な状況となります。
また災害発生後に会議体を作成し、体制を決め、資金確保の手法や活動内容を協議するための関係各所の調整を開始すると、ただでさえ混乱した現地では、膨大なコミュニケーションコストが発生。結果子どもたちへの支援活動が大幅に遅れてしまいます。
平時から災害が起こった時にどのような体制・連携方法で子どもたちの支援に取り組むか、事前に自治体とアライアンスを締結しておくことで、スムーズな教育支援活動が実行できます。
課題3.民間とのスムーズな情報・支援活動の連携
すぐに動くことができる企業・NPOが被災した自治体と連携することが必要不可欠な一方で、緊急時にただでさえ多忙な行政側が、企業・NPOに要望すべきニーズをまとめ、自分たちでマッチングを適切に行うことは困難となります。
平時から民間パートナーを集め、事前に災害時に提供いただけるリソースについてアライアンスを組み、被災した自治体との間に入って必要なリソースをコーディネートすることで、スムーズな連携が実現できます。
災害発生時に思春期世代に必要な教育支援を届けること、事前に自治体と民間で協力体制を組んでおくことで迅速な支援活動に取り組むこと、そのために災害時子ども支援「sonaeru」を設立しました。