長期化する復興において、今求められる支援を届ける
令和6年能登半島地震・豪雨
被災地子ども支援
Concept
2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震は、石川県・能登半島地域に甚大な被害を及ぼしました。被災した子どもたちは、普段と違う生活の中で、気づかぬうちにストレスや苦しみを抱え込んでしまうということも少なくありません。カタリバでは発災直後より、子どもの居場所を開設。それ以降も、子ども一人ひとりの状況やニーズに合わせた物資提供や、子どもたちを支援する立場にある先生方への支援、子どもから大人まで復興を担う地域住民への伴走など、被災地で「今」求められる活動に取り組んでいます。
Serviceサービス
活動概要
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所在地
東京都中野区中野5丁目15番2号(運営事務局)
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TEL
03-5942-9646 (平日10時-17時)
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活動期間
2024年〜
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対象
令和6年能登半島地震・豪雨で被災した子ども、保護者、教員、地域住民
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活動内容
子どもの居場所の運営、受験生向け奨学金の給付、子ども一人ひとりのニーズに合わせた物資支援、学校再開に向けた暖房備品・灯油の提供、ウェブサイトによる情報提供、先生方への住まいや衣類等の物資提供・研修実施、住民参加型ワークショップの企画・運営、復興に向けた活動に取り組む地域の子どもや大人への伴走支援
※被災地の状況の変化に伴い終了した活動も含まれます。
活動内容
地域団体と連携した子どもの居場所の開設
被災した子どもたちは、普段と違う生活の中で、気づかぬうちにストレスや苦しみを抱え込んでしまうということもあり、そうなる前にできるだけ迅速な対応が必要です。一方で、保護者は災害に遭った直後は日々の暮らしを送ることに精一杯で、少し時間が経過しても自宅の再建や仕事の再開準備など、やるべきことや判断すべきことが次から次へとやってきます。そのような中で子どもの変化に気づいてケアするのは、難しい状況があります。
カタリバでは、発災直後より災害時子ども支援「sonaeru (ソナエル)」プロジェクトチームのスタッフが現地入りして子ども支援のニーズ調査を行い、2024年1月5日より地域団体と連携して子どもの居場所の運営を開始しました。これまでに、珠洲市、輪島市、能登町、志賀町、七尾市と二次避難先となった金沢市や加賀市の11ヶ所で「みんなのこども部屋」「みんなの勉強部屋」を運営し、のべ4400人以上が利用しました。
「カタリバ受験応援奨学金」の実施
今回の被災によって、子どもたちが目指す進路をあきらめないために、カタリバは緊急支援として、受験を控えている中学3年生と高校3年生(浪人生含む)の生徒313名に対し、受験にかかる費用に対して奨学金の給付を実施しました。
子ども一人ひとりに今必要な物資を届ける「MY Boxプロジェクト」
集団避難や自宅避難、自主的な近隣地域への避難など、子どもたちの状況が多岐にわたるなか、適切な学用品や衣類等が届いていないという状況を受けて、連携協定を交わした石川県ならびに珠洲市・輪島市とともに、子ども一人ひとりの状況やニーズに合わせ衣類・衛生用品・学用品などを詰め合わせて届ける「MY Boxプロジェクト」を実施。合計で1514人の子どもたちに物資を届けました。
学校再開に向けた暖房備品・灯油の提供
地震によって地域の小・中・高校の体育館や教室も避難所となり、普段であれば児童・生徒が使用しているストーブを避難者の皆さんのために使っていたことから、多くの学校で子どもたちが使用する暖房器具の不足が課題となっていました。このような状況を受け、カタリバに寄せられた寄付金の一部を学校再開に向けた暖房器具と灯油の提供に活用しました。
ウェブサイト「災害時の子どもの生活ガイド」の公開
カタリバが現地での支援によって直接顔を合わせることのできる子どもや保護者は、被災者全体から見ればわずかです。つらい思いをする子どもを少しでも減らせないか、もっと多くの被災者の方に子どもをサポートするための情報を届けられないかと考え、カタリバの災害支援現場で関わってきた当事者の子どもたち・保護者たちなどとともに「災害時の子どもの生活ガイド」作成。
当初は、東日本大震災から13年の節目の2024年3月11日に合わせてオープンさせることを目指して準備していましたが、能登半島地震の発災を受け、2024年1月4日に公開しました。
被災地の先生応援プロジェクト
被災地の先生方の中には、自身も被災し避難所生活を送りながらも、避難所運営と学校再開の対応を同時に行ってきた方もおり、子どもたちを支援する立場の方々もまた、大変な状況でサポートを行っていることが、現地で活動に取り組むなかで明らかになってきました。
これまでに、卒業式・始業式に着用する礼服の提供や、教員用の居住スペース支援、東日本大震災での被災経験を持つ元教員を招いた教員研修などを実施しています。
能登豪雨における復旧物資支援と子どもの居場所の開設も
2024年9月21日に能登半島北部で発生した令和6年9月能登半島豪雨では、床上浸水が300件以上にのぼるなど震災からの復旧に取り組んできた被災地に再び大きな被害を与えました。豪雨被害を受け、震災以降引き続き能登に常駐していたスタッフを中心に現地調査を行い、被災地でいま必要とされる物資の調達と輸送を、寄付や企業の協力を得て開始しました。また、豪雨被害発生以降の週末には輪島市内で「みんなのこども部屋」を開設。復旧作業や行方不明者の捜索にあたる保護者に代わり、地域の方や高校生とともに子どもたちの見守りを行っています。
被災地の子どもたちへ、多様な体験機会を届けるプロジェクト
「公園に仮設住宅が建って遊べなくなった」「引っ越しによって公園に行けなくなり、家にひきこもるようになった」など、震災によって子どもたちの遊び場所が不足している声が保護者から聞かれるとともに、住民向けのワークショップのなかでも、子育て世帯の市民の方々から「子どもの居場所をつくりたい」という声が寄せられていました。
これらの声を受けて、輪島市の小学4年生〜中学3年生を対象に夏休みの間、子どもの居場所と体験プログラム「わじま未来スクール」を開催。子どもたちが安心して遊べる居場所を提供するほか、地元の方と協力して、シーカヤックや乗馬、自然体験などのプログラムを届けました。
また、企業と連携したキャンペーンを通じて、被災地の子をもつ家庭300世帯に対して、全国の遊び先で使えるクーポンの提供も行いました。
能登の復旧・復興を考える住民参加型ワークショップ
石川県が設立した「石川県令和6年能登半島地震復旧・復興アドバイザリーボード会議」の地域ワーキンググループの一環として、被災6市町(輪島市、珠洲市、七尾市、能登町、穴水町、志賀町)および金沢市で開催された住民参加型ワークショップ「のと未来トーク」において、カタリバが事務局としてワークショップの企画・運営を行いました。
子どもたち同士でこれからのまちについて話し合うテーブルも設けるなど、大人だけでなく子どもの声も聞く工夫を行いながら多様な意見を集め、行政に届けました。その後、輪島市の主催で行われた「わじま未来トーク」でも事務局を担いました。
子どもから大人まで、復興を担う地域住民への伴走支援
「のと未来トーク」や「わじま未来トーク」で生まれた子ども支援に関するアイデアについて、自治体と連携して、実現に向けた伴走サポートや市民チャレンジの応援スキームの構築に取り組んでいます。
輪島市では、母親達が発案した「こども縁日」が開催され約450名が来場。このイベントは「被災した地域でも、子どもにとって楽しかったと思える時間をつくりたい」という母親の思いから生まれ、カタリバが企画実現のためのサポートを行い実現に至りました。他にも、被災した地域のために自分たちも力になりたいという思いを持った高校生のプロジェクトに、カタリバスタッフが伴走しています。今後は、地域の復興に向けて挑戦するプロジェクトに対する助成金の仕組みを構築するなど、支援体制を強化していく予定です。
これまでの災害支援の経験からカタリバは、地域や未来のためのプロジェクトに携わる活動人口が増えることが被災した地域の活力となり、子どもがのびのびと育つ環境や自分の可能性を信じて挑戦することにつながっていくと実感しています。カタリバでは、今後も地域の子どもや大人のチャレンジに伴走していきます。
自治体との連携
石川県と珠洲市、輪島市、能登町、穴水町と連携協定を結んで、学校再開のための支援や子ども一人ひとりのニーズに合わせた物資を届ける「MY Boxプロジェクト」に取り組んできました。また、その他の自治体とも情報交換を行い、内容に応じて協力を得ながら活動に取り組んでいます。
能登地震におけるカタリバの緊急支援活動にご支援くださった企業・団体のみなさま
今回の被災地子ども支援は、多くの企業・団体のみなさまからの寄附金や物品寄付によって実現しました。
ご支援いただいた企業・団体のみなさまの一覧は、以下をクリックしてご覧ください。