活動の背景

予測不可能な未来を生き抜く力を育む

「Society5.0」という言葉でも表現されるように、高校生たちが生きるこれからの時代は、未だかつてないほどに変化の激しい時代だと言われています。そのような時代においては、与えられたものや答えのあるものに向き合うのみならず、自ら課題を発見し、実社会の中で様々な人と関わりながら問題を解決していく力が不可欠になります。そのためには、机の上での学びにとどまらず探究し、様々な壁に突き当たったり、他人を巻き込みながら成長する経験を得ることが必要です。

主体的な探究経験が高校生にもたらすもの

高校時代に社会とつながりながら、自らの興味や関心があるテーマに主体性を持って取り組むことで、その先も自ら人生を切り拓いていける。そう示してくれた原点は、東日本大震災の被災地・岩手県大槌町で運営するコラボ・スクールの高校生たちでした。「支援を受けるばかりではなく、自分たちも何かしたい」という想いから、彼らは震災後の町で自らプロジェクトを考え実行しました。そしてそれは、自己肯定感の低さが指摘されるすべての地域の高校生にとっても必要な機会。そのような考えから日本全国に広がったのが、全国高校生マイプロジェクトの取り組みです。

活動内容

全ての高校生がマイプロジェクトに取り組むきっかけをつくる

2020年の大学入試改革、2022年の学習指導要領改訂を機に本格化する教育改革の中で、探究学習を実施する高校への教材提供やカリキュラムマネジメントなどの支援を行っています。
また、学校外でもマイプロジェクトを始めるきっかけを届けるため、全国各地でスタートアップイベントを開催してきました。これまでにのべ1000名以上の高校生が参加し、プロジェクトを立ち上げています。開催地から遠い遠隔地に住む高校生も参加できるように、オンラインでのイベントも随時開催しています。

高校生のアクションを支える伴走者コミュニティをつくる

高校生がアクションを行う上で欠かせないのが伴走者の存在です。プロジェクトを実行する中で立ちはだかる様々な壁を乗り越えるために、アドバイスや協力者の紹介を行います。カタリバは、学校の先生や地域の団体、行政の方など、全国で高校生を支える伴走者を「教育関係者向け勉強会」などによってつなぎ、高校生の活躍の場を支えるための環境づくりに励んでいます。

高校生の活躍の場をつくる（全国高校生マイプロジェクトアワード）

指導要領の改訂により、探究学習はより活発になると見込まれているものの、高校生がプロジェクトを行うことにはまだまだ壁があるのが現状です。そんな高校生たちにスポットライトを当てるために毎年開催しているのが、「全国高校生マイプロジェクトアワード」です。高校生たちは各地での地域大会に赴き、東京で行われる全国Summit（全国大会）を目指し、自ら取り組んできたプロジェクトを発表します。取り組んできたプロジェクトをふり返り、大勢の前で発表し、フィードバックをもらい、全国の同世代と出会う学びの祭典です。

活動の成果

21世紀型スキルを育むマイプロジェクト

2013年度から開催している「全国高校生マイプロジェクトアワード」は、2017年度で5回目を数えました。5年間ののべ出場者数は1500名以上にのぼります。
マイプロジェクトに取り組む中で、高校生たちは想定外の出来事に対面します。マイプロジェクトアワードに出場した高校生を対象にしたアンケートによれば、それらを通して21世紀型スキルを身につけることができたと実感する高校生は全体の約9割にのぼりました。

マイプロジェクトに取り組む高校生の数（イベント参加者）

マイプロジェクトに取り組んだ高校生の変化

連携

全国の教育団体との連携

高校生を対象に活動している全国の団体と連携し、各地域の事務局（全国6ヶ所）・実行委員会としてマイプロジェクトを広める活動に参画いただいています。各地域でのイベントの開催や伴走者コミュニティの形成、行政・団体・学校との連携といった役割を担い、横同士のつながりを活かし、全国の高校生によるマイプロジェクトを促進しています。

学校・行政・地域・企業との連携

探究学習の導入が進む各学校では、マイプロジェクトの普及に向け、教材提供や講師派遣、カリキュラム・授業設計の支援などを行っています。また、各行政、企業とタッグを組んでスタートアップイベントを開催しているほか、マイプロジェクトアワードの一環として小規模の選考会を実施するなど、マイプロジェクトを各地域に根付かせるための活動も行っています。

※「マイプロジェクト」・「ｍｙ　ｐｒｏｊｅｃｔ」「全国高校生マイプロジェクトアワード」は 認定NPO法人カタリバの登録商標です（登録5758300）・（登録5758304）・（登録6527881）