団体概要 / Outline
予測不能な変化が起きる時代を
100歳まで生きるかもしれない、今の子どもたち。
自ら人生を切り拓き、豊かに生きていくためには、
生涯学び続ける「意欲」と
変化の激しい時代を楽しみチャンスに変える
「創造性」が必要です。
誰かにやらされるのではなく
自分ごととして探究した経験を持ち、
自ら意欲を灯して生涯学び続ける力のこと
困難な中でも自由にものごとを発想し、
実際に取り組むことで磨かれる
課題発見解決能力のこと
10代の頃に出会った人、本、映画、漫画、部活などの経験が、
今の自分に大きな影響を与えている、ということはありませんか?
まだ何者でもなく、間もなく大人になろうとする、
繊細で多感な思春期は、多くの人にとって特別な期間です。
この時の良い経験も悪い出来事も、
その後の人生において大きな影響を及ぼします。
私たちはこの思春期に、多様な人と出会い・語り・悩み・学ぶ経験や、
「こんな風になりたい」という憧れを見つけることが、
未来をつくりだす意欲と創造性になると信じています。
しかし、日本の10代は自己肯定感が低く
自信がなく、意欲を持てていない
と言われています。
自分は価値のある人間だと思う「そうだ」「まあそうだ」と回答した者の割合
※高校生の心と体の健康に関する意識調査報告書
-日本・米国・中国・韓国の比較-
平成30年3月 独立行政法人国立青少年教育振興機構
自分ががんばっても、社会を変えることはできない「そうだ」「まあそうだ」と回答した者の割合
出典:東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所
「子どもの生活と学びに関する親子調査2016」
私には、あまり得意なことがないと思う「そうだ」「まあそうだ」と回答した者の割合
出典:高校生の心と体の健康に関する意識調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較-
平成30年3月 独立行政法人国立青少年教育振興機構
どんなに何もやる気がでないと言っていた子も、
自分が嫌いだと言っていた子も、
自分の持つ可能性のイメージが変われば、
身の回りの出来事の捉え方が変わり、
日常の機会をチャンスに意欲と創造性を
伸ばしていくことができます。
心に火を灯す「きっかけ」さえあれば・・・
教育機会が平等に行き届いている
と言われる日本ですが、
生まれ育った環境や受けた教育によって、
意欲と創造性を育む「きっかけ格差」は
広がっていると感じています。
その背景には、地域特性や家庭環境、
震災など、様々な事情があります。
過疎地では、地元にはない進路を選択した先輩が都市部に行ってしまうことで、身近におらず、思い描ける未来の選択肢が限られてしまう傾向にあります。「大学生という存在に会ったことがない」という子も珍しくありません。大学進学率自体も、都市部と地方の地域差は広がっています。
思い描ける選択肢が限られてしまう
地方から東京へ移住した理由は、「進学・教育・仕事のため」という割合が71%と高い。地元にはない進路を選択した人が都市部に流出してしまうことで、10代が思い描ける未来の選択肢が限られてしまう。
出典:株式会社野村総合研究所、
ランキングによる都市の持つ「成長可能性」の可視化
東京移住者アンケート 2017年6月実施
大学進学率の地域差が広がる
都道府県別の大学進学率の差は、最高は東京で2016年度64%、2005年度51%。最低は鹿児島で2016年度31%、2005年度26%。その差は25ポイントから33ポイントとなり、地域差が広がっている。
出典:文部科学省 平成28年度子供の学習費調査
家庭環境が子どもたちに与える影響は多岐にわたります。特に経済的な課題は様々な問題と複雑に絡み合い、深刻化しやすい傾向にあります。塾に通うこと、習い事に通うこと、高校や大学に進学すること…そのどれもが難しく、日常生活を安定して過ごすことも困難な環境に置かれている場合もあります。
子どもの貧困という社会課題
日本の子どもの貧困率 13.9%
7人に1人の子どもが
貧困状態にある
子どもがいる現役世帯のうち
大人が1人の世帯員の貧困率50.8%
2人に1人以上の子どもが
貧困状態にある
出典:厚生労働省 平成28年 国民生活基礎調査の概況
家庭の収入がきっかけ格差に与える影響
世帯の年間収入段階別の学校外活動費(公立)
塾や習い事など、学校以外の時間で自分の視野や可能性を広げるための学校外活動費は、世帯の年間収入が「400 万円未満」と「1,200万円以上」を比較した場合、特に高等学校(全日制)で差が大きく、約4.2倍(約30万円)がある。
出典:文部科学省 平成28年度子供の学習費調査
自然災害大国と言われる日本。全世界で起こったマグニチュード6以上の地震の20.5%、災害で死亡する人の0.3%、災害で受けた被害金額の11.9%が日本と言われています(一般財団法人国土技術研究センターより)。災害によって被災者となった子どもたちは、日常を突然奪われ、心身ともに疲弊してしまいます。また復興が進んでも、心のケアは長期的に必要であり、災害によって夢ややりたいことを諦めてしまうこともあります。
身体の発達と心の発達にギャップが起こり、アンバランスになる思春期世代。
ヨコの関係にある友だちとは自他ともにラベリングしあい、傷つきやすく、
タテの関係にある親や教員に対しては、依存心と自立心の間で揺れ動き、重要なことは話さない。
そんな複雑な思春期世代を支えるにも、家庭は共働き夫婦やひとり親家庭が増え忙しく、
学校教育に求められることは増える一方で教員の負担も増すばかり…。
10代の意欲と創造性を育むことを、親と学校だけが背負うことは、限界が訪れています。
大切なことは親に話さない思春期の世代特性思春期の親とのコミュニケーション内容
出典:株式会社マクロミル・認定NPO法人カタリバ協働調査
2018年思春期の実態把握調査
教員の勤務時間はOECD加盟国等34ヵ国中、最も長い教員の1週間あたりの勤務時間
出典:文部科学省 OECD国際教員指導環境調査(TALIS2013)のポイント
精神疾患で休職する教員は15年で約2倍に公立学校の教職員の精神疾患による休職者数
出典:平成19〜22年度 文部科学省 教育職員に係る
懲戒処分等の状況、
平成23〜28年度 文部科学省
公立学校教職員の人事行政の状況調査
10代の意欲と創造性を育むことを、
自己責任論で片付けず、
親と学校に丸投げしない。
きっかけ格差を超えて、
社会全体で育む新しい当たり前が必要です。
設立当初の今村(左)と三箇山(右)
NPOカタリバ設立のきっかけは、代表の今村久美が大学生の時に高校時代の友人たちの言葉にショックを受けたことに始まります。岐阜県・飛騨高山で高校時代までを過ごした今村は、「自分もこんな大学生になりたい!」と強く思える先輩に出会ったことがきっかけで、受験に向き合い志望校に合格。東京での自由で憧れの先輩たちに囲まれた大学生活を心から楽しんでいました。しかし、成人式で帰省した時に久しぶりに会った友人たちは「大学なんてつまらない」「刺激がない」「毎日がヒマ」と口を揃えて言います。「私と友人たちとは、一体何が違ってしまったのだろうか…?」そう思い悩むことになった彼女が至ったのは、「同じバックグラウンドを持っていても、たまたま出会う家庭環境や教育機会によって、価値観が違ってしまう」という考えでした。「こんな大人になりたい」という憧れや目標を持てるか否かで、描き出せる未来のイメージさえも違ってしまう・・・どうすれば、機会や環境の差を解消できるのか?その答えの1つとして、三箇山優花とともに2001年にNPOカタリバを設立。高校への出張授業カタリ場プログラムをスタートしました。
History
NPOカタリバのあゆみNPOカタリバは4つのテーマを掲げて
サービスを開発しながら、
学校に多様な出会いと
学びの機会を届け、
社会に10代の居場所と出番を
つくることを目指した活動に、
全国で取り組んでいます。
Abouot Activity
NPOカタリバの活動について